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2010年10月4日(月)にレスキュー文書を返却してきましたので
ご報告いたします。
 
■参加:松下・三村・川内・中岡、前田さん@県博、藤木さん@町教委
■返却作業:
(1)Y家アルバム
 昨年、Yさんからの連絡によりレスキューしたアルバムを返却することができました。
 アルバムは、エタノールにより表面の消毒・清掃をおこなったのち、デジカメにより一枚一枚撮影しました。
 一年経過を観察していましたが、カビはとまっており、写真やアルバム本体についても、レスキューした時より劣化が進んでいるようには見えず、予後は良好でした。
 10時半頃、お預かりしていたアルバム5冊と、デジカメ撮影した写真(650カット)を焼き付けたDVD2枚を持参し、ともに所蔵者のYさんに返却することができました。お宅は、すでに改築が終了しており、多少落ち着いておられました。Yさんは、「新聞紙上で貴重な史料を保全する活動を拝見していました。それだけに、私たちのような個人のアルバムの処置を依頼して申し訳なかった」とお話ししてくださいました。確かに、私たちは、ムラの歴史を示すようなある種パブリックなものを中心に保全活動をしていますが、個人のお宅の復興もマチの復興の基礎になるという考えから、家のあゆみや歴史を示すようなアルバムも含めて活動をしていますので、むしろ連絡をくださったことに感謝している旨をお伝えしました。Yさんにはとても喜んでいただき、同様の事例を今後見聞きしたら連絡したいとおっしゃっていました。
 
(2)H家文書
 昨年、Hさんからの連絡によりレスキューした古文書(佐用町教育委員会文化財室保管分、計63点)を返却することができました。
 被害にあった文書ですが、帳面類の他、皆済目録・年貢免状が重ねて折りたたまれた状態で水損し、一部はカビが生え、悪臭も発していたたため、
 ・現状記録のデジカメ撮影
 ・1点ごとにばらす
 ・継ぎ目をはがし一紙ごとにカビ取り、洗浄、乾燥
 ・再度つぎ直し、簡易補修を施す
 ・1点ごとデジカメ撮影
 ・仮目録をとる
作業をおこないました。
 10/4当日は、仮目録を作成しながら、1点ごとに中性紙封筒に詰め替え、中性紙箱に保管した後
14時半頃Hさんのお宅まで返却にあがりました。Hさんにも大変喜んでいただきました。
 まだ、神戸大学には冷凍保管、真空凍結乾燥後保管分の文書が返却できていません。固着展開が難しいもの、断簡が多く、今後すきばめによる補修と、一紙復元後のデジカメ撮影が残されています。これらの作業が終われば、お返しした文書群のデジカメ画像と比較対照しながら、前欠・後欠・前後欠の断簡類がさらに接続できる可能性がありますので、最終的な返却にはもう少し時間がかかります。
 
 今回の返却に至るまでには、たくさんの方々のご協力を賜りました。ここに記してお礼申し上げます。
 未返却の文書、修復作業も残されていますので、今後ともご支援のほどよろしくお願い申し上げます。また、私たちの修復作業のお手伝いをいただける方は、史料ネット松下までご連絡ください。