集中豪雨被災地における歴史資料保全のお願い

平成16年9月8日

 集中豪雨被災地における歴史資料保全のお願い

芸予地震被災資料救出ネットワ−ク愛媛
代表 武智利博(伊予史談会会長)
         内田九州男(愛媛大学教授)

 台風15号・16号・18号伴う集中豪雨ならびに暴風により被災された皆様に謹んでお見舞い申し上げます。

  私たち、芸予地震被災資料救出ネットワ−ク愛媛(略称:愛媛資料ネット)は、2001年3月の芸予地震の際に地域の歴史資料を救出・ 保全するため、県内各地の歴史研究団体と大学関係者が共同して結成したボランティア団体です。芸予地震発生後、今治と松山を中心 に活動を行い、解体直前の蔵から古文書を救出するなど大きな成果をあげることができました。

  私たちがこうした活動を始めたのは、1995年の阪神・淡路大震災の際、地域の貴重な歴史資料がその重要性を認識されないまま捨て られたり焼かれたりするという事態が数多く起きたためです。芸予地震の時にも、私たちが駆けつけた時にはすでに歴史資料が処分さ れた後であったということが何度もありました。このように、災害が起きるとそれを契機に家や蔵に古くから置かれていた歴史資料が 破棄・処分されてしまうのです。

  家々にはさまざまな形で家の記録や地域の歴史を伝えるものが数多く残されています。しかし、今回の水害により長く伝えられてき た古い文書や記録などがなくなってしまうとすれば、それは家にとっても地域にとっても残念なことといわざるをえません。

  なお、文化財に指定されているような著名なものだけが歴史資料ではありません。昔の人の暮らしぶりなど、地域の歴史を知る手が かりとなるものが歴史資料です。具体的には、以下のようなものがあります。

古文書(くずした文字で和紙に書いたものなど)
古い本(和紙に書かれて冊子にしてあるものなど)
明治・大正・昭和の古い本・ノート・記録(手紙や日記など)・新聞・写真・絵
古いふすまや屏風(古文書が下貼りに使われている場合がよくあります)
農具、機織りや養蚕の道具、古い着物など、物づくりや生活のための道具

  これらのものは母屋や蔵、あるいはその中の箱やタンスに収められています。一見すれば紙くずやゴミのようにみえるものでも、実 際には貴重な歴史資料である場合がよくあります。これらのものは捨てたり焼いたりせず大切にご保管下さい。  地域の歩みを伝える貴重な歴史資料を守る活動に、なにとぞご理解をいただき、ご協力下さるようお願いいたします。なお、ご所蔵 の歴史資料の保管・整理などに困っておられる場合には、下記の所までよろしくご連絡下さい。

芸予地震被災資料救出ネットワ−ク愛媛(略称:愛媛資料ネット)
〒790-8577 松山市文京町3 愛媛大学法文学部寺内研究室気付
TEL 089-926-6401  Eメ−ル terauchi@LL.ehime-u.ac.jp