2004年度 歴史資料ネットワーク 活動方針

1. 被災史料の整理や被災地での調査活動
  阪神・淡路大震災後の救出活動で保全された歴史資料のうち、事務局保管の未整理分について引き続き院生・学生・市民などのボランティアを中心にした作業を進める。また、過去に救出・調査した被災史料の現状の把握と今後の活用をはかるために、追跡再調査を含めた総合史料調査を、引き続き神戸市文書館や神戸大学文学部地域連携センターと協力して進める。

2. 市民や自治体との連携を重視した地域史研究や地域遺産保存・活用の取り組み
  歴史研究の成果や地域遺産の活用に関する市民と研究者の交流の場としての「歴史講座」を今年度も実施する。また関係諸学会・大学や研究機関等とも連携し、地域史や史料保存・活用などの研究成果の蓄積をめざす。さらに、地域史の掘り起こしや地域遺産の活用をはじめ、地域の歴史・文化に関わるさまざまな市民・自治体の取り組みへの積極的な連携や支援を継続していく。

3. 震災記録保存と地域史料保存
 関係団体や市民との連携と意見交流をはかり、阪神・淡路大震災の資料保存と記録化・活用に関する研究会を今年度も引き続き開催し、「地域資料の保存と活用を考える」研究会に積極的に協力する。また人と防災未来センターをはじめ、災害史などこの分野に関する研究会や展示企画への参加や見学を行うとともに、資料保存の必要性について行政への働きかけを続ける。
  とくに今年度は史料ネット事務局に保存されている史料ネット活動に関する資料の整理を行う。

4. 災害対策
 山陰・愛媛・広島・山口・宮城の各史料(資料)ネットをはじめ、各地の関係機関・団体との交流と連携を継続する。また、東南海大地震のような大規模災害対策の研究と準備を関西で引き続き行うとともに、「京都における文化財防災研究会」などの活動を援助する。各自治会の地域防災計画で地域遺産の保全をはかるなどのはたらきかけを行う。さらに、新たに大地震などの災害が発生した場合には、情報把握や関係機関・団体・研究者の連絡にあたり、臨機応変に緊急対応基金を活用して救援体制の立ち上げを積極的に支援する。

5. 組織と運営
 ホームページによる各方面への情報発信の充実を引き続きはかる。ニュースレターは定期刊行を維持するとともに、内容の充実に努める。また昨年度、軌道に乗ったメールニュースの配信を維持し、企画や活動のアウトラインをすばやく伝える。既発行の書籍・報告集については、引き続き頒布努力をおこなう。さらにニュースレター購読者の会員加入を呼びかけるなど、会員やサポーターの拡大に積極的に取り組む。  関係諸学会との連携をより一層深め、企画の共催や後援を行い、その成果を各学会の誌面上に反映させる。  さらに、新たに研究員制度を導入し、史料ネット活動の充実化をめざす。なお、この研究員制度の具体的な活用法については今年度以降検討することにする。