■2004年7月13日に発生した新潟・福島豪雨で被られた大きな被害と、今も続く不自由な生活に対して、謹んでお見舞い申し上げます。歴史資料ネットワークでは、文化財など歴史資料に関する被災情報を発信する予定です。もし被災情報がありましたら、e-mail:s-net@lit.kobe-u.ac.jp、電話&FAX:078-803-5565までお寄せください。
■越佐歴史資料調査会による現地調査の報告です(同会山本幸俊氏からの情報提供)
- 実施日 平成16年8月9日(月)午前10時30分〜午後5時30分
- 調査地 三条市
- 調査参加者
- 滝沢繁(県立文書館文書調査員)
- 中沢資裕(加茂市史編さん室)
- 杉本耕一(越佐歴史資料調査会世話人)、長谷川伸( 同 )、広井造( 同 )、渡部浩二( 同 )
、花岡公貴( 同 )、山本幸俊( 同 )
- 調査概要
- (1)結 論
- 史料が被災し至急の対応が必要----1軒(N・T家)
- 床上浸水したが史料は無事----------2軒(K・K家、H・T家)
- 床下浸水で史料は無事 ----------3軒(S・M家、S・T家、H・K家)
- その他(図書館へ預けてあり無事)--2軒(I・H家、N・M家)
- (2)調査方法
- 平成元年刊行『新潟県史』別編2、資料所在目録には28件の資料所在が掲載されている。その中から、今回の水害で浸水した地域に所在する9件を対象に史料所蔵者宅を訪問して現状の聞取り調査を行った。
- 浸水地域の確定と当該域の史料所蔵者抽出は、県立文書館中川主任文書研究員が新潟県河川管理課作成「7・13水害五十嵐川、刈谷田川、猿橋川、信濃川左岸浸水区域図」をもとに作成した。該当する資料所蔵者は9件であった。
- 訪問調査は4人づつ2班に分かれて行なった。その際、別紙7月23日付新潟県教育庁文化行政課長・新潟県立文書館長名で市町村教育委員会へ出された「水害に伴う『文書等』の取扱いについて(お願い)」文と越佐歴史資料調査会からの「7,13新潟豪雨被災地の歴史資料・文化財被害状況確認のお願い」文、『毎日新聞』7月19日記事(「古文書など保存を」)コピーを配布し調査趣旨を説明した。
- (3)調査結果
- (1)I・H(西鱈田)
- (2)K・B(西四日町)
- 現戸主K・K。
- 1階全て浸水で平屋造りの家屋解体中。
- 家族は市内東鱈田K・H家へ避難中。おばあさんは救援ボートで避難した。
- 約800点の所蔵史料は当主の判断で勤務先の三条金物へ避難し無事であるとのこと。今後の史料保管の継続に不安と電話でK氏が話されていた。今後の対応必要か。
- (3)S・M(西本成寺)
- (4)T・S(北四日町)
- 庭先まで浸水したが、家内は無事。
- 18代目でもと庄屋役。西四日町で酒屋経営。商店の方は被災した。史料は大丈夫。
- (5)S・A(金子新田甲)
- 現当主S・T。大きな屋敷地に家屋は新築され、玄関のインターホンで会話。床上浸水ではなかった。史料はおばあさんが管理している。今後の史料の管理(虫干しなど)をお願いしてきた。
- (6)N・T(東本成寺)被災史料の処分を検討中、至急の対応が必要。史料は母屋裏の小屋の箪笥に収納していただ浸水を受けた。水損したものは既に廃棄したものもあるが、まだ、軸物や屏風、文書などが多く残されており家人は対処に困っている。
- (7)N・M(本町
- (8)H・T(西本成寺)
- 床上浸水したが史料は無事。金庫に入れておいた史料は少し濡れた程度。昔から大切に守ってきたという所蔵者の保存意識が高い。
- (9)H・K(本町)
- どこのお宅であるか突き止められず不明。
- 本町は浸水被害が少なかったので大丈夫と思われる。
- 調査報告
- (1)三条市図書館で羽賀吉昭館長に面談して、午前中の調査報告と午後の調査にあたり、史料所蔵者の住宅位置などを教示していただき情報交換を行なった。今後の対応についても、県立文書館との連携をお願いした。
- (2)三条市教育委員会生涯学習課へ調査終了後訪問して、調査結果と今後の対応について依頼した。応対者は生涯学習課長金子正典氏、生涯学習文化振興係長藤井勲氏。上記の調査結果を口頭で伝え、特にN・T家の対応について県立文書館への協力を被災地担当課から要請していただくように依頼した。また、今後の歴史資料の対応に対して新史料協での取り組みを参考に十分に配慮いただくようお願いした。
- その他
- N・T家の対応については緊急を要するため、翌日8月10日午前中に滝沢繁氏より県立文書館へ調査報告を行った。その結果、文書館ではN家に電話連絡をとり、8月11日に訪問調査した。その結果、被災史料は地元の三条市図書館が受け入れることになった。
(以上の記述は、越佐歴史資料調査会作成「7・13新潟豪雨被災史料の現状確認調査」より作成。一部個人情報を含む記述については割愛した----松下)
- 実施日 平成16年7月26日(月) 午前10時30分〜午後5時
- 調査地 南蒲原郡中ノ島町
- 調査参加者
- 滝沢繁氏(県立文書館文書調査員)
- 長谷川伸氏(越佐歴史資料調査会世話人)
- 花岡公貴氏(同上)
- 山本幸俊氏(同上)
- 調査概要
- (1)結論 中ノ島町については、緊急の被災史料救済活動は必要ないものと判断できる。今後は地元教育委員会からの依頼を待って対応する。
- (2)調査方法 昭和58年中ノ島村史編纂委員会刊行の『古文書・古記録目録』第1号〜第3号掲載所蔵者48件と平成12年実施県立文書館史料所在調査先(中ノ島町)一覧18件を手掛かりに、被害の大きかった刈谷田川流域について史料所蔵者宅を訪問して現状の聞取り調査を行った。目録上点数が1〜2点しか登載されていない場合は調査から除いた。
その際、別紙7月23日付新潟県教育庁文化行政課長・新潟県立文書館長名で市町村教育委員会へ出された「水害に伴う『文書等』の取扱いについて(お願い)」文と越佐歴史資料調査会からの「7,13新潟豪雨被災地の歴史資料・文化財被害状況確認のお願い」文、『毎日新聞』7月19日記事(「古文書など保存を」)コピーを配布し調査趣旨を説明した。
- (3)調査結果 (個人名が表記されているため割愛)
- 調査報告 中ノ島町災害対策本部において、教育委員会生涯学習推進課社会教育係長W氏に調査結果を報告した。文化財担当のK氏は災害普及作業中足を負傷され療養中とのこと。今後、被災史料の取扱いなどについて相談がある場合は県立文書館へ連絡を取るように依頼した。
- その他
- (1)見附市の被害状況について見附市役所O氏を訪ねて聞いた
- (2)見附市は8月に、県立文書館が史料所在調査を実施するのでその際に被災史料の調査を行ってもらえるように依頼する。
- (3)三条市については、今後、史料所在状況に詳しいM氏などと連絡をとって調査を実施するかどうか至急決める。
- (4)緊急災害時の対応について、ボランティア、自治体、県立文書館のそれぞれの役割について整理すること急務。例えば、史料救済活動を行うかそうでないかの判断を行うためにも、被害状況を早めに把握することが必要。史料所在情報を最も多く持つ文書館は被害状況と史料所在地を地図に落とし状況確認することは文書館内にいてもできること。あるいは、情報収集ためには誰でもよいから被災地へ早く入ること、地元自治体は日頃から管内の史料所在地を把握すること(史料ハザードマップ作成)などを、今回参加者で昼食時などの話題として話し合われた。
(以上の記述は、越佐歴史資料調査会作成「7・13新潟豪雨被災史料の現状確認調査」より抜粋。一部個人情報を含む記述については割愛した----松下)
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■マスコミ関係者へ
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■被害状況
■新聞報道
- 『毎日新聞』2003年7月19日「古文書など保存を」