岩手県内の状況の状況についてのまとめです。

のちほど新聞記事の情報も追記し、施設ごとにまとめていきます。個人名は削除しました。(松下3/20) 

 

■県内被災自治体リスト(3/16史料ネット事務局調べ)
 
 ■岩手県内公立図書館等の被害概況(3/18岩手県立図書館HPから)

■津波被害の古文書救え 県立博物館、全力で修復作業(岩手日報20110419)
陸前高田市「吉田家文書」、岩手県立博物館での修復作業。

■郷土史守る決意一つに 陸前高田古文書研究会(岩手日報20110415)

陸前高田古文書研究会による、陸前高田市立図書館での史料レスキューの様子。
「「郷土の歴史を守ることが、生き残った者の使命」。陸前高田古文書研究会(高井良夫会長)の有志は、陸前高田市高田町の市立図書館で郷土資料を捜し出し、保存する作業に取り組んでいる。県指定文化財「吉田家文書」解読に取り組んできたが、メンバー3人が震災で亡くなり、解読文も流失。「もう一度頑張ろう」と涙をこらえ立ち上がった。」
■岩手県の状況(4/12 14:24秦博志さん(ハタスタジオ修復表装工房)からのメール)

 今回、4月4日に現地入り8日まで登記簿の調査に向かう専門家に同行して岩手県を中心に被災地を回った。盛岡周辺の町は普通に機能しており、ニュースで見る風景との違いに違和感を覚えた。車で気仙沼に向かう。被災地に向かう道も問題なく、ガソリン不足などの問題もすでに解消されていた。被災地に近づくにつれ救援関係の民間あるいは自衛隊の車が目立つようになり、いよいよ町に入ると突然壊滅状態の町が現れた。瓦礫の山で通りにくい道もあり多少渋滞する箇所もあったが、復興に向けての活気と見れば頼もしい限りであった。瓦礫しか残っていない町並みの道端には救い出されたアルバムや位牌、手紙などが所々にまとめて置かれている様子が目に付いた。思い出の品々を守ろうと言う動きは早い段階から報道されていたが瓦礫撤去作業員の善意から始まった動きのようだ。
気仙沼から石巻に海岸線を南下する。途中、迂回路や架設の橋など不便なところはあるが海岸線の通行止めも急ピッチで復興が進んでいた。ガードレール脇にはやはりアルバムなど持ち主の分からないものが積み上げられていたが周りに人気はなく、風で飛ばされ散乱していく書類などを見た。
仙台ではデジタルレスキューの事務所を訪問した。震災の二日目には仙台入りされたそうだ。初期の段階では海水や泥をかぶったハードディスクなども8割程度の救出率だったが、3週間を過ぎた時点では2割以下まで落ちてしまうそうだ。24時間体制で必死の救出が続いているがこういう基地が他にはあまりない。まだ被災状況によっては助かるものもあるかもしれない。海水をかぶった時点であきらめてしまう場合が多いのだろうが、助かるものもある事は周知されるべきだ。

翌日、山田町へ向かう。県立山田病院でカルテや図書の被災状況を視察。副院長の案内で山田町役場、町内、大槌町を見て回る。
平泉副院長のお話。
「津波被害は怪我人がほとんど出ない。元気で逃げられた人だけが助かり、そうでない人はみんな流された。悲しいけれど残った人のために何が出来るか考えたい。どんどん現地に来てほしい。山田は多くの人が行き来して活気があるが、隣の大槌は壊滅状態で人気がない。さびしい。」状況はどんどん動く。タイミングを間違えてはいけない。
山田町役場の隣、コミュニティセンターは漂流物集積所となっていて自衛隊の方が瓦礫の中から救出したものに発見場所の札を付けて置かれていた。自然に出来上がったシステムのようでうまく機能しているように見えた。このあとをどう救うか。まだまだ瓦礫の撤去作業は続く。しばらくは野ざらし状態の漂流物も多いだろう。

頑丈な建物の中で被災した資料などはその場にかろうじて留まっているが、不幸にも流されてしまったものはすべて漂流物となる。文化財も公文書も個人資料の中に混ざっている場合も多い。現在まで善意により集められた漂流物も心無い人に持ち去られたり、あるいは最終的にごみの山になってしまう懸念もある。

すべてが流されてしまった地域住民にとって漂流物はわずかに残された貴重な財産である。手遅れにならないうちに出来る事は全部やる覚悟が必要だ。 


■陸前高田市立図書館からの資料レスキュー(4/5メールにて寄せられた情報)
4/1~4/4にかけて、陸前高田市立図書館に保管していた資料をレスキュー。
仙台藩の大肝煎をつとめた吉田家の「吉田家文書」など、
近世~昭和期にかけての古文書500~600点がレスキューされる。
現在、県立博物館にて処置を行っている。
・水没図書館から吉田家文書回収 陸前高田(岩手日報20110406)
 
■大船渡市立三陸公民館の状況(4/3大船渡市在住の方からの情報)
大船渡市立三陸公民館が津波被害を受けた。
建物自体に立ち入り禁止のロープが張られている状態で、建物内にある図書室の救済についても情報が入りません。
未だに多数の行方不明者がおり、ライフラインが無い避難所もあります。
未だ発見されていない人間を見つけることが最優先になっています。

■【陸前高田】気仙大工の粋、無念 吉田家住宅など流失(岩手日報20110329)
仙台藩大肝煎屋敷の吉田家住宅(県有形文化財)が津波により流失、倒壊。
同家所蔵の伊達政宗からの黒印状も流失。
その他、1930(昭和5)年に県是製糸会社事務棟として建設され、国の登録有形文化財に指定されていた酔仙酒造事務所など多数に被害。

■(3/19 9時)
・岩手県立博物館
職員、来館者とも無事。資料やガラス、壁の破損等あり
・花巻市博物館
職員無事。施設建物損傷なし
 
■遠野市の状況(3月17日12時50分)
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岩手県遠野市の状況について
・同市文化政策部文化課(遠野市立博物館の館内)に問い合わせをした。
・遠野市内では、今回の地震についての影響は海岸部に比して少なかった。
・ただ市役所の庁舎は診断上「全壊」判定。市役所機能は西館、出先機関の空き部屋を利用。
・岩手県の中では沿岸部に近い市の中で被害はまだましな方ということで、
県外からの物資集積拠点となっている。
・遠野市職員は後方支援(物資仕分け、運搬、炊き出し)に奔走。遠野市山田町、陸前高田市、大槌町などで。
・館は閉館。学芸員も含めて後方支援にあたる。館内の被害はそれほどでもないとのこと。
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■松下宛のメール抜粋(3/15 21時)
岩手の遠野市立博物館からメールが入りました。一部抜粋して転送します。
>ありがとうございます。
>当館は職員・建物・展示にはほとんど被害がありませんでした。
>しかし、燃料が底をつき、水も節水制限がかかりました。
>職員もみな三陸海岸の都市に、食糧や水を確保し輸送すること、
>市内に集まりつつある被災民に食べさせること、
>身元のわからない遺体を受け入れる事に、必死になって従事しています。
>当面、開館のめどが全く立たない状況です。
>もはやその日その日の自分の命と生活を守ることが課題になっています。
 
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