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11/2,3におこなった史料修復・巡回調査についてご報告します。
今回もたくさんの方々にご参加いただきました。
本当にありがとうございましたm(_ _)m(ま)

■11/2(月)
・参加:村上さん@福崎町立神崎郡歴史民俗資料館、前田さん@兵庫県立歴史博物館、
    大野さん@阪大外国語学部、松下
    藤木さん・保井さん・船曳さん・清水さん@佐用町教委

・久崎H家文書洗浄・穴埋め
 前回に引き続き、臭いのきつい水損史料の洗浄・吸水乾燥作業を行いました。
 虫喰いや固着がひどく展開が難しい水損史料ばかりが残っていましたので、
 展開後も大きな欠損部分が生じました。
 そのままでは保管や紙継ぎが困難と判断し、応急処置として補修用和紙で穴埋め作業を行いました。

 今回は、水のり用刷毛を活用する方法を佐用町の臨時職員の方に教わりました。
 ①洗浄前に不織布に史料を挟んだ際に、不織布の上から刷毛でなぞるとなじみやすい
 ②洗浄時に不織布の上から刷毛でなでてあげると洗浄効果があがる
  (ただし、破損の激しい史料はあまりなでないほうがよい)
 ③洗浄後、新聞紙で粗く水分を取る作業の前に、刷毛で不織布の上からなでると水切り効果があがる
 という結果を得ました。

 確かに史料の裏打ちや洗浄の際には刷毛を使うので、もっともな話やと思い、感心しました。

・佐用町佐用の巡検
 10/12に佐用Y家のアルバム処置をした際に気になっていた旧家を訪ねることとし、
 藤木さんに地元の区長さんに連絡をとっていただきました。但し、訪問時には不在でした。
 
 ①Y家…歴史資料はないとのこと。チラシを配付し、情報提供を依頼
 ②J寺…10/12時点にはあった庫裏が撤去。水損史料の一部を廃棄したとのこと
 ③M家…お留守
 ④N家…水損史料は廃棄。泥かきボランティアに選別を依頼するのは忍びなかったとのこと。
 ⑤I家…10/12時点にはあった家屋が撤去。蔵のみ残る。引っ越し先不明のため連絡とれず
 ⑥M家…10/12時点ですでに蔵のみ。引っ越し先が蔵に記載。
 その他、旧街道沿いの山際のお宅は大丈夫と判断。

 佐用駅前の商店街沿いは、現在すごい勢いで家屋解体が始まっています。
 これからは水損史料のレスキューよりも、家屋や蔵の解体に伴う史料レスキュー依頼が増えるかもしれません。

■11/3(火)
・参加:井上さん@神大国文学D、吉原・沢井・中岡・藤井・松下、藤木さん@佐用町

・中上月T家の文書消毒・クリーニング作業
 10/4に瓦礫の中からレスキューした近代史料のクリーニングとエタノール消毒を行いました。
 所蔵者に史料内容が説明できるようにあとは仮目録をとれば終わりです。

・久崎H家文書洗浄・穴埋め
 昨日に引き続き文書洗浄・吸水乾燥・穴埋め作業を行いました。
 その結果、数点断簡同士を接続することができました。これで洗浄作業は終了です。

 今回も吸水乾燥に便利なグッズが登場しました!(^^)
 それはセームタオルです!!中岡さんが持ってきてくれました。
 セームタオルとは水泳の後に体を拭くタオルです。
 乾燥していると硬いのですが、少し水に濡らしてやるとやわらかくなります。

 これまでは、洗浄後、刷毛→新聞紙→スポンジ→キッチンタオルという順序で
 吸水乾燥していたのですが
 このセームタオルを新聞紙による吸水の前に入れてあげることで、更に紙の節約と時短に成功しました。

・佐用Y家アルバムの消毒・クリーニング・デジカメ撮影作業
 10/12に引き続き、上記の作業を行いました。
 ご自宅は床上げ作業の真っ最中だったので、アルバムを調査室までお預かりし、調査室で作業を行いました。消毒・クリーニング作業は全て完了し、お借りしていたアルバム2冊を返却しました。
あとはデジカメ撮影を残すのみとなりました。データは1枚のDVDに焼いてアルバムとともにお渡しする予定です。

 フ○ルアルバムは、やっぱり台紙に写真をたくさんはりすぎるのはよくないと思いました。
 特に台紙の際まで写真を貼ると、台紙とフィルムにすき間が生じ、その間から汚水が流れ込み
 カビが生えたり、写真表面の乳剤が溶けたりということがあるようです。

■次回は
・久崎H家文書 史料洗浄、吸水乾燥、穴埋め、断簡接続
・中上月T家文書 仮目録とり
・中上月T家屏風 下張り剥がし
・佐用Y家アルバム デジカメ撮影
など盛りだくさんです。被災史料を扱える貴重な機会ですし、人手もまだまだ必要ですので
多くの方のご参加をお待ちしております。日程が決定次第お知らせいたします(^^)

今回は僕の阪大での教え子や、国文学科の院生が来てくれました。
日本史の専門じゃない方が来てくれたのはとても大事なことだと思います。
実際に地域資料に関わる方々は必ずしも日本史専攻者とは限らない…っていうかむしろ
日本史専攻者じゃない人の方が多いはずです。
その意味でも色んな分野の方にご参加、ご協力をいただいてはじめて
被災史料保全活動の裾野が広がっていくんだと改めて実感できました。
今後も史料レスキューの輪を広めていきたいと思っています。
皆さま、今回も本当にありがとうございました。(ま)