8月29日から9月1日にかけて
佐用町にて水損史料の保全活動を行いましたので
ご報告申し上げます。(ま)
参加メンバーは
8/29 史料ネット3名(川内・木村・松下)、町教委1名
8/30 史料ネット3名(川内・木村・松下)、町教委1名
8/31 史料ネット5名(板垣・川内・中野・森脇・松下)、町教委4名
9/1 史料ネット4名(坂江・高橋・古市・松下)、町教委4名
でした。
■8/29(土)
中上月地区を町教委と巡回し、
区長さんから被害のあった旧家をご紹介いただきました。
・A家
蔵から水損史料を搬出。
水損程度の軽い史料は佐用町文化財調査室にてエタノール噴霧と自然乾燥、
水損程度の激しい史料は冷凍庫にて冷凍保管しました。
(汚損史料の取り扱いについては別途アップします)
冷凍庫(エレクトロラックスECB105)は、8/15に佐用町内のホームセンターで購入したものです(18,800円)。冷凍庫のおかげで分厚くて乾燥しにくい簿冊も保全することができました。
・B家
家の半分が倒壊。倒壊した建物内に史料が見えたものの、搬出は不能でした。
解体時に連絡をくれるよう依頼して辞去しました。
■8/30(日)
応急処置と巡回活動
・A家
レスキューした水損屏風の下張り剥がしを行いました。
現状記録が不能なほど固着していたので、通常の記録は取らず一紙ごとにはがし、
エタノールで消毒し、自然乾燥させました。
・C家
水損した掛け軸(画)と額(書)がありました。
「家にとって大切なものなのでなんとか残したい」というご当主の娘さんのご意向を尊重し
美術工芸品の保存修復措置についての情報を収集し、後日応急処置法をお伝えすることにしました。
■8/31(月)
応急処置とレスキュー活動
・A家
蔵からレスキューした写真資料のクリーニングと消毒を行い、
今後劣化が予想されたため、デジカメ撮影を行いました。
データはCD-Rに焼き、写真資料とともに所蔵者にお渡ししました。
水損屏風については、通常のように1曲ごとに表紙から剥がすことができなかったため
骨から下張りをすべて剥がし、骨に近い層から順に剥がすことにしました。
現状記録の方法を町教委の臨時職員の方にお伝えし、下張り剥がし作業をお願いしました。
(水損屏風の解体方法については別途アップします)
午後からは更に蔵から水損史料をレスキューしました。
処置については8/29と同様です。
人力車や農具などの民具については、兵庫県立歴史博物館の学芸員さんと国立民族学博物館の日高真吾先生にご教示を得て、保全方法やその後の処置について検討していただきました。
■9/1(火)
応急処置と巡回活動
・A家
調査室で自然乾燥中の水損史料のエタノール消毒と天日干しを行いました。
史料の天日干しについては異論もあろうかと思いますが、
生乾きのままカビが発生しつづけることと紙の劣化を天秤にかけて
苦渋の決断をしました。天気も良かったこともあり、随分乾燥が進みました。
検証しなければ断言できませんが、紫外線による殺菌も出来たと考えております。
他には、屏風の下張り剥がし作業の続きを行いました。
兵庫県立歴史博物館の学芸員さん2名が水損屏風の状況について見学されました。
・上月の民具保管庫を見学
千種川の氾濫により床上10cm程度浸水していたため、状況を確認。
目視ではそれほどカビの発生は認められず、臭いもそれほどしませんでした。
久崎区長を訪問し、旧家を紹介していただきました。
・D家
蔵の1階部分が水没(床上1.8m)し、史料は全て廃棄したとのこと。
・E家
昭和51年台風17号と平成16年台風23号の際に既に廃棄したとのこと。
今回は2.1mの水没。一斗升と臼のみ残ったとのこと。
南光町にある佐用町社会福祉協議会に、災害ボランティアや所蔵者に
歴史資料を廃棄しないよう呼びかけてほしい旨をチラシを渡しながら説明
http://www.lit.kobe-u.ac.jp/~macchan/200908typhoon09bill.pdf
この第2回の保全活動については神戸新聞が取材してくださり
9/2に地域ニュース22面に記事を掲載していただきました。
http://blogs.yahoo.co.jp/siryo_net/article/271028719.html
災害復興で大変な最中に史料保全活動や聞き取りにご協力賜った
所蔵者の方や町教委の皆さま、
また応急処置や保管についてご教示ご協力を賜った
兵庫県立歴史博物館と国立民族学博物館の皆さまにお礼申し上げます。
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