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9月15日
佐用町にて水損史料の保全活動を行いましたのでご報告申し上げます。(ま)

参加メンバーは
史料ネット2名(吉原・松下、尾立和則さん)、佐用町教委4名
でした。

・佐用町久崎G家
Gさんは、神戸新聞をご覧になって史料ネット事務局にFAXを送ってくださった方です。
9/9の第5回佐用町レスキューで第1回目の処置をしました。
和紙製の古文書については、あらかた乾燥は終わっていました。
先週に引き続き消毒とカビ取りのクリーニングをしましたが、
臭いがひどかったために、
2004年台風16号で高潮による水損古文書洗浄を経験した尾立さんから
古文書の洗浄方法を教えていただきました。尾立さん、ありがとうございました。
緊急で洗浄を行ったため、十分な資材もなく、あり合わせの物を使いました。

①水損古文書の現状記録をとる(デジカメ撮影)
②カッター台に文書の大きさより少し大きめに合わせた不織布をのせる(不織布が小さかったので、複数枚をのせる)
 ※不織布は、緊急で調達する必要があったため、市販の水切りゴミ袋を代用
 ※ゴミ袋の綴じ部分2箇所をカッターで切り、一枚の不織布として使用
③不織布の上に、水損古文書をのせる。
④霧吹きでエタノールないしは水を噴霧しながら、不織布の上に古文書をなじませる
⑤その上からさらに不織布を覆うようにかぶせる
 ※ふせんなどがはがれて流れていかないように、不織布をかぶせる
 ※継紙の場合で、一紙ごとに解体する余裕がない時は、
  不織布からはみ出た史料をかぶせた不織布の上に折り返してのせ、
  さらにその上に不織布をかぶせる。
  折り返す際には史料の折り目に沿うとよい。
  それでもはみ出す場合は、この作業を繰り返す(以上、折り返し法)
⑥カッター台ごと流し場へ持って行く。
 ※その際に、カッター台には傾斜をつけておく。傾斜がきつすぎると史料が水に流されやすくなり、
  傾斜が弱すぎると史料が水に浮いてしまうので注意。
⑦容器に入れた水を古文書にかける。
⑧不織布に古文書をはさんだ状態で端からゆっくりもちあげ、新聞紙の上にのせる。
⑨上から新聞紙をおさえつけあらく水分を吸収。
⑩セルロース系スポンジ、キッチンタオルで不織布の上から水分を吸水。
⑪ある程度乾燥できたら陰干しへ

この手順で、二点分の史料を洗浄し中性紙封筒につめ、ご当主にお返ししました。
史料を洗浄すれば、臭いが随分と軽減されることがわかりました。

残り20点ほどある継紙の史料はこの方法でできそうなのですが、
冊子状のものは綴じ紐をほどいて解体し、一枚ずつの状態にして洗浄する必要があり
まだまだ時間がかかりそうな感じです。
ここまでの作業は緊急レスキューを越えて、「修復」の領域に入っているのかもしれません。
そこまでする必要があるのか?という意見もあるかもしれませんが、
固着展開後でしわくちゃで、臭いままの史料を所蔵者に持ち続けてほしいとお願いするのは
酷な話ですし、所蔵者による長期的な保存を期待するならば、個人的には継続して洗浄をやりたいと考えています。
また皆さんからのご意見をお待ちしています。

・佐用町中上月A家
調査室で自然乾燥中のA家近代史料をエタノール消毒、固着展開による乾燥を行いました。
この作業は主に町教委の方にお願いしました。

史料の洗浄方法についてご教示いただいた、尾立和則さんにお礼申し上げます。