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■第36回全史料協全国(京都)大会公開事業
資料保存ワークショップ
 
・日時:2010年11月24日(水)12:10~14:10
・場所:京都テルサ3階第2会議室
・企画協力団体:(財)元興寺文化財研究所・一般社団法人国宝修理装コウ師連盟・歴史資料ネットワーク・京都府立総合資料館・京都造形芸術大学日本庭園・歴史遺産研究センター
 
記録資料を保存し続けるためには、保存環境整備、処置修理などのメンテナンス事業が必要です。しかしながら、こういった事業に関する情報はさほど多くはなく、敷居が高いのも事実です。特に処置修理ともなれば、費用もかかり、なにが必要でどこまでやれば十分なのかは本当にわかりにくいと思います。そこで、保存修理事業の全体像を少しでも理解していただけるよう展示+ワークショップを企画しました。
関西に本拠を置き(全国的に)活躍されている5団体がそれぞれの仕事や事業を紹介しつつ、保存修理事業は、「どういう順番で」「何を考えて」「何をしなければならないのか」という全体像を理解しやすいように構成しました。一部作業体験もできます(チラシより)
 
史料ネットのブースでは、
(1)史料ネットの被災史料保全活動の概要を示したパネル展示
(2)水損史料の救出・冷凍保管処置・吸水紙による吸水乾燥処置の動画上映
(3)キッチンペーパーによる水損サンプル史料の吸水乾燥体験コーナー
の出品展示を行いました。
 
(1)パネル展示では、史料ネットによる被災史料保全活動の流れを簡単に紹介したパネルや、昨年の台風9号の被害状況や救出史料とその処置方法に関するパネルの展示をおこないました。
 
(2)動画上映コーナーでは、台風9号での水損史料保全活動の際に実際に撮影した動画を上映しました。被害のあった蔵からどのように水損史料を搬出するのか、濡れた史料をどのように吸水乾燥・冷凍処置するのかは、口頭で説明してもなかなかイメージが湧きにくいかと思います。今回の動画上映により、水害に遭うと文書にどのような被害があるのか、その場合の取り扱いの注意点などもお話できました。また、2009年3月に発生したドイツ・ケルン市歴史文書館崩落現場からの、汚損史料救出映像は、館が丸ごと地下に崩落し、瓦礫と泥水の中から史料をレスキューすることの困難さを語るには余りある衝撃の動画であり、訪れた皆さんが食い入るようにご覧になっていました。
 
(3)吸水乾燥体験コーナーでは、私たちがめざす「史料の救急救命士」づくりの理念をお伝えするとともに、
「いつでも、どこでも、誰にでも、安くて、早くて、簡単な」処置方法をお伝えしました。
また実際に使用する応急処置グッズも展示し、手にとってご覧いただくことで、一人でも多くの方に
水濡れ資料の処置方法について知っていただき、万が一の時には実践していただけるようお話いたしました。
 
2時間余りのワークショップでしたが、チラシの減り具合から考えても100名の方にはご覧いただいたかと思います。また、このワークショップで、さらに人的な関係も広がりましたし、とても貴重な機会でした。
今回のような機会を作ってくださった、全史料協と京都府立総合資料館の皆様、ワークショップのコーディネーター役をお引き受けいただいた京都造形芸術大学の大林賢太郎先生、当日に飛び入りでお手伝いいただいた大阪大学総合学術博物館の廣川和花さんはじめ関係者・参加者の皆様に改めてお礼申し上げます。 (ま)