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・日時:2010年6月29日(火)午前10時半~
・場所:神戸大学文学部古文書室
・参加:15名
 
当日は、史料ネットメンバーの他、NPO法人「書物の歴史と保存修復に関する研究会」
のメンバーの方や大学図書館の職員さんにもお越しいただき、盛況裡に終えることができました。
今回処置した史料は、昨年の台風9号で被災したお宅からレスキューした賞状と虫損のある刊本のサンプルです。
賞状自体は被災史料ではありませんが、酸性劣化によって紙がボロボロになり、ばらけてしまっているので
裏打ちをして所蔵者にお返しすることにしました。
(裏打ちする道具がそろっていない被災現場で処置する際には、アクリル板でサンドイッチしてバラバラにならないようにしてもいいでしょう)
 
■裏打ちの方法
(河野さん作成のメモを参照)
 
・本紙の縦・横を採寸
・裏打ち紙を本紙の寸法より大きめ(3~6cmの余白)に裁断 ※今回は美濃紙を使用
・必要であれば作品の脱酸、滲み止め処理 ※賞状については事前に脱酸溶液に漬けた
・作業台(カッターマット)の上にレーヨン紙を敷き、噴霧器などで水分を与えて作業台にレーヨン紙を密着させる。
・レーヨン紙中央に、裏返した本紙を置く。
・折り目やよれが生じた場合は、本紙を浮かせて出来るだけ平らにする
・正麩糊・片岡糊などの糊を溶く。 ※今回は「和紙のりいちばん(東京松屋製)」を使用
・糊は漉し器で濾して糊のだまをとっておく。 ※漉し器の代わりに、製菓用の篩でもOK。今回は篩を使用。
・濾した糊をパレットに移し、精製水を少しずつ混ぜて薄める
・別の作業台で、裏打ち紙の上に糊をのばす。糊刷毛の動きは、中央から外側へ。ムラのないように
・裏打ち紙の端を木の棒に巻き付け、棒を回転させながら裏打ち紙を持ち上げる
・本紙の下に敷いてあるレーヨン紙の隅に噴霧器で湿り気を与える。ここに裏打ち紙の角を置き、位置を調整する ※湿り気を与えるのは、レーヨン紙の上で裏打ち紙を滑らせるため 
・裏打ち刷毛を中央から上下方向に動かし、本紙に裏打ち紙を載せていく
・裏打ち紙のしわや、本紙との間に出来た気泡を裏打ち刷毛でとんとんとたたいて追い出す
・仮張りをする前に、板から剥がす際にへらを差し込むための切れ端を本紙にかかるように置く
・裏打ち紙の周囲に糊をつける
・一番下に強いてあるレーヨン紙ごと持ち上げ、仮張り板に貼り付ける。
・貼り付けたら、一番外側にあるレーヨン紙を、本紙が剥がれないように注意しながら剥がす
・裏打ち紙とくっついた本紙を持ち上げて、ふわっとおろす。この時裏打ち紙の上部はしっかりと押さえ、
仮張り板と密着させておく
・乾燥後、へらをつっこんで、仮張り板からはがす。
・裏打ち紙の余白を裁断して、完成
 
☆なお、この方法はすべての裏打ち方法にあてはまるわけではありません。
必ず専門家の指導を仰いでください。
このブログに書いている方法によって裏打ちを試し、
何らかの損害があったとしても史料ネットは一切の責任を負いませんのでご注意ください。
 
☆今回のワークショップは、
(株)工房レストアさんのご協力により開催することができました。
ご指導いただいた、平田社長に改めてお礼申し上げます。