2016年4月14日以来の「2016年熊本地震」に関して、史料ネットでは4月26日に現地関係者との協議のため熊本を訪問しました(文責:川内)。
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【派遣人員】
奥村 弘代表、川内淳史事務局長、吉川圭太事務局員
【訪問先】
奥村代表は国立文化財機構・文化財防災ネットワーク推進室より同行を求められ、26日午前より熊本県教育庁・熊本県立美術館・熊本県立図書館を訪問、
川内と吉川は午後より合流し、熊本博物館、熊本大学を訪問した。
川内・吉川は伊丹発熊本行きの飛行機にて熊本入りをした。
熊本空港は震度7を2度記録した益城町内に所在し、空港施設事態も被害を蒙った結果、地震直後より運行見合わせが続いていたが、
19日に熊本到着便が、また翌20日からは熊本発便が再開され、一部運休便を除いて再開されていた。
しかしながら、空港内は壁の剥落やひび割れ等が発生しており、一部の施設が使用不可の状態であった。
空港からはレンタカーにより熊本市内に向かった。市内大通りについては部分的に被災した建物が散見される状態であったが、チェーン店を中心に飲食店は再開されており、またコンビニ等でも商品の枯渇状況は見られなかった。
ともすれば、ここが「被災地」であることを忘れそうな程に日常的な風景が広がっていたが、ひとつ路地を入ると、大通りからは見えない部分で被災が確認されたりもする。
総じて直下型地震の特徴である、被害の有無が場所によってはっきりと別れる形で出ているという印象を受けた。
まず初めに、熊本市立熊本博物館へ向かった。同館は本来は熊本城公園内に所在するのであるが、
来年度末までリニューアル工事ということで、現在は熊本市役所近くのオフィスビルの中に執務室を移していた。
熊本城の被害については報道等でよく知られているところであるが、公園外から確認した限りでも、天守閣の屋根瓦の崩落や長塀の倒壊、また複数箇所での石垣の崩落が確認された。
一方で、熊本城公園から道を挟んだ所に熊本市役所が所在するのであるが、こちらの方は特に大きな被害は確認されず、道の両側での異なる被災状況は印象的であった。
熊本市立熊本博物館にて奥村代表および文化財防災ネットワーク推進室一行と合流し、和田館長ほか学芸員のみなさんと情報交換を行った。
熊本博では4月19日段階で民間所在資料保全の呼びかけを行うとともに、県内の被災情報の集約、また館独自のレスキュー対応を順次行っていたが、
学芸員のみなさんは避難所対応などを行いながらの被災文化財対応ということもあり、かなりお疲れの様子であった。史料ネットとして出来る限りの支援を行う旨、お約束した。
次いで熊本大学を訪問し、稲葉継陽氏(熊本大学文学部附属永青文庫研究センター長)をはじめ、4月23日に設立された「熊本被災史料レスキューネットワーク(熊本史料ネット)」のみなさんとお会いした。
熊本史料ネットとは現在の状況および今後の見通しについての情報共有を行い、史料ネットとして行える具体的支援について情報交換を行った。
現在、立ち上がったばかりの熊本史料ネットとしては、目下のところ寄せられた救援要請をもとにしたレスキュー対応を行っていくことが精一杯であり、大規模なレスキュー活動を展開する体制が整っていないこと、
また被災地の民間所在史料情報を集約しつつ、県などと連携して対応を行っていくとのことであった。
史料ネットとしては、熊本のみなさんが無理のない形で動けるように支援すること、またさしあたっては熊本史料ネットの活動資金確保に向けた支援募金の呼びかけを、
史料ネットが熊本史料ネットを代行して行う旨を申し出、了承を得た。
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史料ネットとしては今後、熊本史料ネットや熊本博などによる民間所在資料のレスキューをサポートしつつ、九州隣県をはじめ、全国の関係者や被災文化財レスキューにご関心のみなさまに支援を呼びかけていく方針で動いていきたいと考えます。
それにともない、すでに4月28日より支援募金お願いの呼びかけを開始しております。
多くのみなさまからのご支援・ご協力をよろしくお願い申し上げます。
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