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2002年5月26日

歴史資料ネットワークの組織改革について(修正案)

阪神大震災対策歴史学会連絡会運営委員会


1 組織改革の趣旨

 阪神・淡路大震災から7年がたちました。歴史資料保全を目的として、関西の主要な学会を中心に、全国の歴史学会の支援を受けて開設された歴史資料ネットワークは、震災復興の状況および頻発する地震とその後の保全活動の展開、日本社会の変化のなかで、いくつかの節目を区切りながら、その活動を発展させてきました。
 組織の性格がある程度整理されるのは、震災後の緊急保全活動が一応の終了をみた1996年4月です。このとき歴史資料保全情報ネットワークから、歴史資料ネットワークと改称し、@史料の救出・保全など震災処理の継続・A被災地の歴史・文化を知る活動の継続・B普遍的課題に向けての取り組み(「活動を通じて明らかになった、歴史学と社会をめぐるより普遍的な課題に取り組み、その経験を全国に発信」)することを新たな目的と定め、現在まで活動を進めてきました。
 日本史研究会・大阪歴史学会・大阪歴史科学協議会・京都民科歴史部会・神戸大学史学研究会・神戸女子大学史学会を幹事団体に、これにボランテアリーダーを加えた運営委員会を毎月開催し、基本的な運営方針を定めるとともに、神戸大学文学部内に常設の事務局を置いています。事務局では、被災史料の仮整理、市民講座・兵庫津の歴史研究・神戸地域の被災史料の再調査・阪神・淡路大震災そのものの資料保全などについての準備、ニュースレターの印刷・発送、阪神・淡路大震災記念協会・神戸市文書館・尼崎市立地域研究史料館などの関係機関や関係大学、西淀川あおぞら財団やまちのアーカイブなどNGO団体、考古学や文化財修復など関係学会との連絡調整、震災後の歴史資料保全活動の総括文書の編集、震災を通して関係を深めた歴史を学ぼうとする多彩な市民および市民団体との連絡調整を行っています。 
 2000年11月から、史料ネットの運営委員会では、さらに歴史資料ネットーワークの運営について、現在の活動状況に照らし合わせて、新たな組織形態に移行することについて議論を重ねてきました。それは、新たな対応が必要となる、次のような状況が生まれたことにあります。
 第一は、被災地での歴史文化に関する活動は多面的な成果を上げながらも、一方では、地震後の被災自治体の財政困難の中で、保全史料の自治体への移管や、その前提となる仮整理さえ、なかなか進まないという状況があります。被災地における歴史文化に関する活動とその成果を全国に返していく活動を、地道に継続的に支えていくためにふさわしい組織形態が求められていることです。第二は、鳥取県西部地震、芸予地震など多発する地震災害に対して、緊急対応を行うとともに、情報を整理し、全国の関係者に発信していくセンター的な機能が求められていることです。。
 現在必要とされている対応は、これまでの歴史資料ネットワークの活動と、その内容では大きく変わるものではありません。しかしながら被災地での地道な活動の継続、頻発する地震への対応は、元来、関係者のカンパ活動のみで成り立っている史料ネットの不安定な活動形態では、対応に限界があります。
 史料ネットは、広範な学会の連携と積極的に活動に参加するボランティアからなる組織です。広範な歴史学会と様々な市民が持続的に協力しながら、歴史資料保全と社会におけるその活用を実践的に進めていくという、その基本的な性格を維持していくために、史料ネットを財政的に支え、人的にも連絡を緊密にし活動維持のための会員制を導入し、これとの関係で、目的のいっそうの明確化、組織の整備を行いたいと考えるにいたった次第です。


2 歴史資料ネットワークの基本的な活動内容と組織

 歴史資料ネットワークの基本的な活動内容は次の六点です。

@ 阪神・淡路大震災後の保全歴史資料の保存と活用
A 阪神・淡路大震災の資料・記録の保存と活用
B 被災地を中心とする市民の歴史研究活動の援助
C 大規模自然災害についての史料保全・歴史研究についての提言
D 大規模自然災害の際の歴史学会の史料保全活動の暫定的なセンター的役割
E 市民社会の中での歴史資料のあり方についての研究

 このうちDの暫定的なセンター的役割がこれまでの活動目的に加わっています。これは、地震時の史料保全活動について、当面史料ネット以外に各地の活動を支援する連絡センターをすぐさま設置できないという現状からくるものです。歴史学会が全体として組織的にこのような活動を支える恒久的なシステムをいかにつくるのかについては、史料ネットもCの課題の一部として、積極的に学会で議論しうる素材を提供していきたいと考えています。
 会員は、各学会を単位とする学会会員と、史料ネットの趣旨に賛同、歴史資料の保全、市民社会での活用をすすめる歴史関係者、地域住民からなる個人会員からなります。個人会員は、歴史関係者だけでなく、これまでの史料ネットの史料保全活動、市民講演会、その他多様な活動によって結びつきができた様々な方々を想定しています。さらに、史料ネットを支えてくれる広範な方々をサポーターとして募集します。個人会員だけでなく、サポーターにも、史料ネットの企画のお知らせや参加費の割引、参加学会の企画のお知らせなど、積極的な結びつきも強めていきたいと考えています。
 学会会員および個人会員は、史料ネットワークの運営に直接参加する権利を持つものとします。この二種の会員の出席の下、年に一度総会を行い、年間計画をもって活動を進めて行きたいと考えています。学会については、直接運営委員会をになうことを基本としますが、遠方で参加しがたい場合などもあり、このような場合、参加の形は、学会ごとの判断で決めていただきます。
 基本的方針は、一ヶ月から二ヶ月に一度行う、学会会員および個人会員から選出された運営委員なる運営委員会で行い、各種の日常活動を進めていくため事務局および事務局長を置き、専任にちかい形で事務員を置くという、ほぼ現状に近い活動形態を維持していくことを基本とします。また埋蔵文化財への対応、震災資料への対応など、新たな大地震への対応など必要に応じて、部門別の委員会(長は運営委員)も検討したいと考えてます。
 なお年四回発行しているニュースレターについては、さらに体裁、内容ともさらに充実させていきたいと考えています。
 以上、史料ネットの組織改革について、これまで史料ネットの運営委員会および各学会での議論を踏まえ、草案を作成しました。各学会でさらにご意見をうかがった上で、今年度中には、新たな組織へ移行したいと考えています。
 なおこの組織改革は、史料ネットを常設の団体として固定するものではありません。史料ネットのあり方については、その基本的な課題である@ABCについての状況が変化した段階で(おそらく数年後)、その発展的解消も含めて、さらに議論をすすめていきたいと考えています。

※下線部は、1月22日の組織改組の趣旨の変更部分です。3月委員会での個人会員とサポーターについての変更に応じて変更しています。 奥村