記録と記憶をみらいへ

2004年の活動

歴史資料ネットワーク2004年度活動報告

1 被災資料の整理や被災地での調査活動

事務局保管の被災資料整理は、院生・学生・市民などのボランテイアによって進められた。神戸大学では計6回の整理が実施され、のべ62人が参加し、約■箱分が終了した。6回のうち、阪神・淡路大震災での被災資料整理には半分の三回しかあてることができなかったが、台風23号による被災資料の整理を行うことで、新たに水損史料修復や襖解体・下張り文書救出のノウハウを蓄積することができた。他にも新聞資料の整理を行った。
神戸女子大学での被災資料整理(S家文書)は、4箱分の整理が終了し、神戸大への移管が終了した。残りの整理は神戸大学に場所を移して進行中である。
神戸市文書館との共同事業である神戸市緊急地竣雇用促進特別交付金事業「市民から引き継いだ古文書整理等」事業では、S家文書が約23,000点整理され、その内容が文書館のHPに反映されるなど具体的な活用も行われた。
また、さらに、神戸大学文学部地域連携センターと神戸市文書館と史料ネットの三者共同で、神戸地域における財産区調査が行われ、灘区・東灘区・西区で調査を進めた。
さらには、震災時にレスキューした史料所蔵者から新たに史料寄託の依頼をうけ、複数の機関を斡旋し、寄贈手続きの仲介を行った。震災時に預かった彼災資料の返却・寄贈も進めることができた。

  • 第21回:2004年6月12日参加者12名(Y家文書整理)
  • 第22回:2004年7月10日参加者9名(Y家文書整理)
  • 第23回:2004年9月11日参加者6名(Y家文書整理)
  • 第24回:2004年11月13日参加者22名(日高町T家乾燥)
  • 第25回:2005年2月12日参加者7名(日高町T家襖解体)
  • 第26回:2005年4月17日参加者6名(日高町T家襖解体)

 

2 市民や自治体との連携を重視した地繍史研究や地様遺産保存・活用の取り組み

連続する風水害による被災資料調査と修復活動に全力を注いだために年4回の歴史講座を開催することができなかった。そこで、今年度は史料ネットと協力関係にある団体と企画を共催することで、各団体や地域住民と交流をはかった。

  • 第1回近世市民講座「芦屋の歴史をたどる―尼崎藩と灘自の村々―」
    • 2004年9月5日(日) 13:00-17:00 @芦屋市民センター参加者約110名
    • 報 告:岩城卓二氏(大阪教育大学)「幕藩体制における尼崎藩の役割」・明尾圭造氏(芦屋市立美術博物館)「三条村の水利事情」・「古地図と用水」(展示解説担当=加藤宏文・河野未央・吉村真樹子)、後援:芦屋市教育委員会・芦屋市立美術博物館・神戸大学文学部地域連携センター・兵庫県教育委員会)

自治体関連については、芦屋市立美術博物館のNPO化に関する情報を収集し、検討を行った。
また昨年度史料ネットが主催した、楠・荒田町遺跡の学術的価値を検討する緊急シンポジウム「平家と福原京の時代」をもとに、歴史資料ネットワーク編『平家と福原京の時代』(岩田書院)を刊行することができた。
さらに、下記の催しに協力を行った。

「シリーズ歴史遺産を考える」以外の企画

  • 共催事業 大阪歴史科学協議会5月例会
    • 2005年5月21日(土) 13:30-17:00 @東淀川勤労者センター参加■名
  • 共催事業 芦屋市立美術博物館シンポジウム
    • 2005年5月30日(月) 14:00-16:30 @芦屋市立美術博物館ホール参加■名
    • 主催.芦屋ロータリークラプ、共催.三条津知財産区三条会、芦屋市婦人会、芦屋ユネスコ協会
    • 報告.奥村弘「地域の歴史遺産の活用と博物館の役割」(仮)他
  • 後援事業 「淡河町の歴史と文化を考える」講演会
    • 2004年7月11日&2005年2月5日主催:淡河町自治協議会
  • 後援事業 第16回『火垂るの墓を歩く会』
    • 2004年8月4日&7目、主催・「火垂るの墓を歩く会』実行委員会 参加4日40名、7日50人
  • 後援事業 史学研究所公開館座「兵庫津研究の最前線」
    •  2004年12月18日(土) 13:30-16:00 @神戸市立博物館 参加約100名
    •  報告:大国正美「みなと・兵庫津の歴史像をもとめて」他、主催.大手前大学史学研究所オープンリサーチセン
      ター・神戸市立博物館
  • 後援事業 日本西洋史学会第55回大会特別企画『神戸歴史舞台―西洋社会との出会い、震災と史料保存、そして未来―」
    •  2005年5月15日(日) 13:00-17 :00 @神戸大学文学部 参加者■名
    •  シンポジウム報告:奥村弘「地域歴史遺産の保全と海港都市神戸」他
  • 参加事業 被災者支鍾復興会議Ⅲフォーラム
    •  2004年9月25日(土) 芦屋市民会館 参加約100名
    •  報告:奥村弘「災害を記憶する文化とは」―歴史資料ネットワークの活動から―」他
  • 参加事業 日本福祉大学知多半島総合研究所シンポジウム
    •  2004年10月30日(土) 参加約200名
    •  報告:奥村弘「大規模自然災害と地域歴史遺産保全―「歴史資料ネットワーク10年の歩みから―」
  • 参加事業 文化財保存修復学会例会「文化財防災の教訓と展望―阪神・淡路大震災から10年―」
    •  2005年1月22日(土)13・00 -16:15 @尼崎市立立花公民館 参加約30名
    •  報告:河野未央「歴史資料ネットワークの取り組み」他、主催:文化財保存修復学会
  • 参加事業 第3回歴史文化をめぐる地域連携協議会「市町合併と地域遺産の保存・活用を考える―公文書・文化財・地域史料―」
    •  2005年1月30日(日) 13:00-17:00 @姫路市立城郭研究室大会議室
    •  報告:松下正和「被災地域の自治体・郷土史団体との連携による地域遺産保全活動~台風23号による被災歴史資料・文化財の救済・修復活動を通じて」他、主催:神戸大学文学部地域連携センター

 

3 震災記録保存と地域史料保存

2004年6月6日の総会に合わせてシンポジウム「現代社会における歴史学、史料・文化財保存~震災から10年、史料ネットの活動をめぐって」を開催した。
9月23日に人と防災未来センターで行われた「第3回阪神・淡路大震災資料の保存・活用に関する研究会」に参加した。
さらに今年度も「シンポジウム地域資料の保存と活用を考える」実行委員会に協力し、2005年3月19日に行われた第2回シンポジウムを朝日新聞大阪本社・大阪歴史科学協議会・大阪歴史学会・(財)公害地場再生センター(あおぞら財団)・NPO西山知三記念すまい・まちづくり文庫と共催した。

  • 主催事業 シンポジウム「現代社会における歴史学、史料・文化財保存~震災から10年、史料ネットの活動をめぐって」
    • 2004年6月6日(日)@尼崎市立小田公民館 参加28名
    • 報告:奥村弘「震災後10年間に新たに展開してきた状況や課題について」・辻川敦「この間の行政の動向について」、コメント:保立道久氏(東京大学史料編纂所)
  • 共催事業 第3回阪神・淡路大震災資料の保存・活用に関する研究会「災害の記録継承システムの構築を考える」
    • 2004年9月23日(木) @人と防災未来センター参加■名
  • 共催事業 第2回シンポジウム地域資料の保存と活用を考える「地域資料保存・活用ネットワークの構築に向けて」
    • 2004年6月6日(日)@尼崎市立小田公民館 参加28名
    • 報告:佐賀朝「地域資料保存・活用ネットワーク構築のための第一歩―大阪の特長を活かして」他

4 災害対策

2004年7月に発生した「新潟・福島豪雨」「福井豪雨」、夏以降の連続台風の対策のために、災害発生直後より情報収集にあたるとともに、被災地の文化財関係機関・報道機関・ボランティアセンターに対して被災資料の現状確認・保全以来のFAXを行った。このように、今年度から地震だけではなく、風水害に対しても本格的に対応できる体制づくりを行なってきた。
特に福井水害に対して、史料ネットが7月25日に福井入りし、現地と対応の協議を行った結果、地元の文化財担当者を中心に福井史料ネットワークが結成された(代表=松浦義則氏@福井大)。その後、今立町・池田町・美山町・福井市・鯖江市を中心に11回にわたる被災史料現状確認調査が行われた。史料ネットでは、これらの調査活動に参加するとともに、メーリングリストの立ち上げ、募金の呼びかけなど現地と連絡を密に取り合いながら、その活動を支援した。カンパ総額は406,133円が集まり(4月30日現在)、史料ネット側の必要経費を除いた額を福井史料ネットワークに寄付した。
夏以降の連続台風に対しても情報収集と被災資料調査依頼のFAXを被災自治体等に送付した。とりわけ、台風23号の被害は大きく、かつ被災地が史料ネットの近隣であったことから、阪神・淡路大震災以降で初の直接的な保全対応にあたった。10月28日以降は兵庫県内において、12月1日以降は京都府内において被災史料調査を行った。その結果、日高町の旧家2軒から近世・近代文書や書籍類、出石町から自治会文書、京丹後市から大量の水損襖、舞鶴市から区有文書2件・水損書籍1件をレスキューすることができた。学生・院生・市民・自治体職員など200名を越えるボランティアにより手作業による乾燥作業が進められ、日高町の水損史料の半分を乾燥させることができた。未処置の水損史料については、兵庫県教育委員会・滋賀県教育委員会の協力を得て、兵庫県埋蔵文化財調査事務所・神戸市埋蔵文化財センター・安土城考古博物館の真空凍結乾燥機により乾燥中である。なお、真空凍結乾燥前の予備冷凍にあたって、(株)西宮冷蔵による冷凍保管倉庫の無償提供を受けた。
今回の被災資料保全活動は、大学や学会、被災自治体の文化財担当職員、郷土史団体会員や地元区長・文化財審議委員、企業などの広範な協力を得て、大きな成果を収めることができた。
連続台風以降、災害カンパと名称をかえて募金をお願いし、4月30日段階で410,864円が集まっている。
なお、大規模地震に対しては、おおむね震度5以上の地域を中心に、被災状況の確認依頼のFAXを文化財担当部局に送付した。とりわけ2004年10月に発生した新潟県中越地震では、地元で新潟歴史資料救済ネットワークが結成され、史料ネットは募金活動の支援を行った。また2005年3月に発生した福岡県西方沖地震に対しては、県や市の教委に連絡をとるなどして情報収集につとめた。
また、内閣府の「災害から文化遺産と地域をまもる検討委員会」へ史料ネットを代表し、奥村弘が参加した。その結果、2004年7月に内閣府により公表された答申「地震災害から文化遺産と地域をまもる対策のあり方」は、未指定文化財を含んだ文化遺産全体をまもるための方策も含まれるものとなった。
さらには、国連防災会議のパブリックフォーラム「文化遺産を災害からまもるために」に史料ネットも参加した。2005年1月20日に行われた分科会「文化遺産の自然災害史と被災した文化遺産の修復」で報告を行った。

  • 参加行事 国連防災会議パブリックフォーラム「文化遺産を災害からまもるために」分科会3「文化遺産の自然災害史と被災した文化遺産の修復」
    • 2005年1月20日(木) 14:15~15:15 @神戸国際会議場 参加■名
    • 奥村弘「動産文化財の防災対策と救出・修復」他

5 組織と運営

今年度の事務局は、5名の事務局員にて業務を行った。運営委員会は第22回(7月20日) から第32回(6月9日)までの計11回を開催した。
ホームページの整備をすすめ、各方面への情報発信の充実をはかった。ニュースレターは5回(2004年8月9日福井水害緊急特別号、2004年9月3日第38号、2004年10月22日第39号、2005年3月28日第40号、2005年5月19日第41号)発行した。メールニュースは43回発信し、現在■名が登録されている。
この1年間の書籍販売実績は、計227,670円(『神戸と平家』71冊、シンポ記録集38冊、総括集16冊)の売り上げであった。4月30日段階の会員数は学会会員8団体、個人会員140名(昨年比+14)、学生・院生会員(+3)、サポーター51名(+6)、ニュースレター購読86名(+11)の308名(+34)であった。
また、各学会の会誌上や例会などにおいて、史料ネットの活動紹介やカンパ呼びかけの協力を賜った。詳細は以下の通りである。

  • 「自然災害による被災歴史遺産保全活動への支援募金のお願い」(『日本史研究』510号、2005年2月)
  • 加藤宏文「歴史資料ネットワークと水害被災歴史資料保全活動」(『ヒストリア』194号、2005年3月)
  • 「自然災害による被災歴史遺産保全活動への支援募金のお願い」(同上)

お問い合わせはお気軽に。 TEL 078-803-5565 受付時間 13:00~17:00(平日のみ)

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