記録と記憶をみらいへ

2007年の活動

1. 被災史料の整理や被災地での調査活動

2004年台風23号水損文書整理と返却

2007年6月17日、豊岡市出石町日野辺公民館において、乾燥・仮目録取り作業が終わったため、出石町日野辺の水損自治会文書(事務局保管分)を同自治会に返却することができた。返却式当日に、「水害を乗り越えた古文書~日野辺村の講と村人」と題して、史料ネット会員の木村修二氏による伊勢講関連史料の解説と、同自治会文書の展示会を行い、地元住民のみならず周辺地区の住民も含め多くの参加者をえた(なお、同自治会より史料ネットへ寄附金を頂戴した)。豊岡市日高町の田尻一雄家文書(事務局保管分)の汚損文書の一部について、漉き填めによる脱臭実験を「タツヤ(株)」に依頼し、無償で修復をしていただいた。その結果、脱臭効果を確認することができた。なお、同文書はご当主の申し出により2008年5月11日に史料ネットへ寄贈いただいた。但馬・国府国分寺館保管分の日高町田尻早苗家文書を館内で移動するために仮整理したいとの連絡が豊岡市教委よりあった。ただし、仮整理・整理後の保管方法の方針については翌08年度で検討することにし、借用期間の延長について田尻早苗氏から了承をいただいた。

阪神・淡路大震災被災史料

震災時にレスキューした神戸市長浜家文書を、神戸大学の協力により整理・撮影し、同家へ返却する予定である。

2.市民や自治体との連携を重視した地域史研究や地域遺産保存・活用の取り組み

史料ネット主催市民講座

今年度は中世講座を企画することができなかったものの、年4回の歴史講座を開催することができた。古代講座では、『図説尼崎の歴史』の執筆者である高橋明裕氏が、古代西摂地域の地域生活史研究の最新成果を報告し、幅広い年代層と広範囲からの参加者をえた。
史料ネットが阪神・淡路大震災時にレスキューした西野家文書(川西市)が、同市に寄託されたのを契機として、同文書から明らかとなった川西の歴史について、講演と展示会を行った。
昨年にひきつづき兵庫区と連携し、右記の講座を開催することができた。これまでクローズアップされることのなかった近世兵庫津・近代兵庫港の具体像にせまる報告の新規性と、北野天満神社宮司の佐藤典久氏による舞楽「欄陵王」とのコラボレーションなどの新趣向もあり、盛況裡に終わった。なお、一昨年度の中世市民講座の内容をふまえたブックレット『地域社会からみた『源平合戦』-福原京と生田森・一の谷合戦-』(歴史資料ネットワーク編)が2007年6月に岩田書院から刊行された。
また、一昨年度からの試みである、神戸史学会との共同企画「地域史卒論報告会」の3回目を開催することができた。これは、大学院には進学せず一般企業などへ就職し、かつ主に兵庫県をフィールドとする地域史を卒論のテーマにした学生が市民の前で報告を行うという企画で、歴史系の大学で勉強した学生が、社会に出た後も地域遺産や史料を守る活動を続けるきっかけづくりとすることを目的としている。今回は、3大学からの参加と、大学院進学者以外の卒業生の参加を得て、本企画の目的を達成することができた。

今年は、平野歴史クラブや夢野西まちづくり協議会など地域の団体から講師派遣依頼が多かったのが特徴的であった。史料ネットは、講演者を紹介するだけではなく、講演後には地域団体のメンバーとともに会の運営や地域での歴史資料・文化の保全についての意見交換の場を持つことで、地域住民との交流を深めることにつとめた。

 

3.震災記録保存と文化財防災

人と防災未来センターの展示がリニューアルしたことにあわせて、展示見学会・シンポジウム「大規模震災と歴史資料」を開催した。なおこのシンポは若手委員によって企画された。
今年度は引き続き、「大学コンソーシアムひょうご神戸」と協力しつつ、各大学を巡回する水損史料ワークショップを行うことにした。これは実際に史料を取り扱うことが多い歴史系の学科の学部生・院生や文化財担当職員を対象に、水損史料の乾燥法や史料ネット活動の周知をはかるために開催したものである。今回は神戸女子大学・関西学院大学・大手前大学、神戸市埋蔵文化財センター・兵庫県立考古博物館で行うことができた。
また、昨年度にひきつづき「阪神・淡路大震災資料の保存・活用に関する研究会」に参加した。

 

4.災害対策

2007年3月能登半島地震の被災地と「能登歴史資料保全ネットワーク」事務局を訪問し、同ネットワークに支援金を送った。史料ネットは同ネットワークの組織化にあたり支援を行ったが、「歴史資料の救出・診断・保管・修復等を支援するため所有者と支援団体との連絡調整をはかる」というネットワークの主たる目的をほぼ達成したとして、2008年3月31日に解散した。被災地におけるネットワーク組織化のあり方や調査成果の地域への還元など今後の見通しについて検討すべき課題を残したままであり、情報交換をしながら能登地域における活動を見守る必要があろう。

また、「3.震災記録保存と文化財行政」でも記したように、行政機関とも協力し、水損史料の取扱に関する技術の習得や、アーキビストや司書への水損史料の処置方法に関する研修を行った。

 

5. 組織と運営

今年度の事務局は、5名の事務局員にて業務を行った。運営委員会は第56回(2007年6月15日)から第66回(5月13日)までの計11回を開催した。

今年度の運営委員会の委員の出席率もよく、企画も担当するなどとりわけ若手委員の活躍が目立った年であり、一昨年度の改善の要望が反映されたものとなった。

今年度もホームページの更新が滞った。大学外からでも迅速に情報を提供するために、神戸大学文学部のサーバーを介して配信していたメールニュースを、Yahoo!のメーリングリストにより配信し、ブログを開設した(http://blogs.yahoo.co.jp/siryo_net)。また、ニュースレターは4回(2007年7月31日第50号、2007年10月31日第51号、2008年2月29日第52号、2008年5月13日第53号)発行した。
この1年間の書籍販売実績は、計114,606円(『神戸と平家』19冊、シンポ記録集6冊、総括集1冊、『平家と福原京の時代』14冊、『地域社会からみた「源平合戦」』45冊)の売り上げであった。5月30日段階の会員数は学会会員11団体、個人会員146名(昨年比+1)、学生・院生会員18名(同比+1)、サポーター52名(同比-3)、ニュースレター購読81名(同比-1)の計308名(同比-2)であった。
また、各学会の会誌上や例会、各地史料ネットの出版物などにおいて、史料ネットの活動紹介やカンパ呼びかけの協力を賜った。

お問い合わせはお気軽に。 TEL 078-803-5565 受付時間 13:00~17:00(平日のみ)

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