1 被災史料の整理や被災地での調査活動
阪神・淡路大震災や2004年台風23号時の保全史料のうち、事務局保管の未整理分について整理作業を進めるという活動方針に基づき、以下の整理作業を行った。
〔2004年台風23号に伴う文書整理とクリーニング作業〕
2004年台風23号によって被災した田尻一雄家文書(兵庫県豊岡市)は現在、所蔵者からの寄贈をうけ、史料ネットが保管している(段ボール10箱)。乾燥作業は完了しているものの、固着展開や、汚れ・臭いの除去が課題として残っていた。今年度も、絵画修復専門家の谷村博美氏の指導のもとクリーニング作業を行った。
今後も継続して処置を続ける必要がある。
2 市民や自治体との連携を重視した地域史研究や地域遺産保存・活用の取り組み
今年度は、総会後のシンポジウムのほか、兵庫区と連携した講演会などを開催した。
〔史料ネット主催・共催シンポジウム・講演会〕
2014年7月12日のシンポジウム「資料保存に集う人びと-そのあり方を考える-」では、茨城史料ネットの市川大暉氏から学生ボランティアに視点を据えた報告があった。続いて当会運営委員の吉原から水損資料修復ワークショップの成果と課題に関する報告、文化財修復専門家の平田正和氏から、文化財修復の理念や文化財保存のための「技術」発信の必要性についての報告がなされた。多くの人びとがかかわるボランティアやワークショップが持つ可能性と課題について活発な議論がなされた。
また、2015年3月29日の兵庫区歴史講演会「戦災から70年、震災から20年」では、昨年にひきつづき兵庫区と連携し開催することができた。例年通り多くの来場者によって盛況であった。
〔「シンポジウム地域資料の保存と活用を考える」実行委員会への参加〕
シンポジウム地域資料の保存と活用を考える実行委員会では、引き続きwebサイト「大阪歴史資料NAVI」で大阪を中心とする地域資料関連の情報発信を行 いつつ、大阪市内のアーカイブズの活動状況を検討する研究会を開催した。なお、大阪府・市公文書館の機能充実を求めていたところであるが、最近の運営状況 は落ち着きを見せている。
〔地域史卒論報告会〕
神戸史学会との共同企画「地域史卒論報告会」は10回目を開催した。これは、大学院には進学せず一般企業などへ就職し、かつ主に兵庫県をフィールドとする地域史を卒論のテーマにした学生が市民の前で報告を行うという企画で、歴史系の大学で勉強した学生が、社会に出た後も地域遺産や史料を守る活動を続けるきっかけづくりとすることを目的としている。今回は過去最大の参加者数を得、卒論での成果を社会に広く還元するという本企画の目的を達成することができた。
〔史料ネット設立20周年記念事業〕
2015年2月14・15日の2日間にかけて、「全国史料ネット研究交流集会」を開催した。この集会は、歴史資料ネットワーク設立20年を機に、全国で同様の活動に取り組む史資料ネットが一堂に会し、これまでの活動の成果や、日常的に抱える課題を共有することを目的とするものである。集会は、奥村弘・栗原祐司氏・木下尚子氏の記念講演に始まり、全国各地で被災資料保全に取り組む16のネットワークからの報告と、20以上の関連団体からのポスターやパンフレット等の出展があった。最後には、参加者一同によって歴史文化に関わる多様な担い手の役割を示した「『地域歴史遺産』の保全・継承に向けた神戸宣言」が採択された。
主催◎、共催○、後援●、参加・協力△
◎シンポジウム「資料保存に集う人びと-そのあり方を考える-」
2014年7月12日(土)@兵庫勤労市民センター
報告:市川大暉(茨城大学MC)「茨城史料ネットの資料保全活動-学生の視点からみた課題と可能性-」、吉原大志(歴史資料ネットワーク)「資料保存のきっかけをつくる-水損資料修復ワークショップとボランティア-」、平田正和(株式会社工房レストア)「紙文化資料の町医者を目指して」 参加者:33名 USTREAM配信視聴者数:75名△第16回 火垂るの墓を歩く会
【御影コース】2014年8月2日(土)
阪神石屋川駅南側公園集合 → 上中 → 石屋川公園 → 御影公会堂 → 成徳小学校 → JR六甲道駅 解散
【西宮コース】2014年8月5日(火)
阪急苦楽園口駅改札口集合 → ニテコ池 → 阪急夙川駅 解散
主催=「火垂るの墓を歩く会」実行委員会 協力=神戸空襲を記録する会○静岡県文化財防災意見交換会
2014年11月23日(日)/ 11月24日(月)@静岡県庁、南伊豆町
報告:内田俊秀「文化財防災の経緯と現状」、吉原大志「阪神・淡路大震災以降の神戸における資料保全活動」、天野真志「宮城における資料保全活動」、静岡県文化財等救済ネットワーク「静岡県の文化財救済の状況について」
主催=東北大学災害科学国際研究所特定研究プロジェクト、静岡県文化財等救済ネットワーク、共催=歴史資料ネットワーク、NPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク、NPO法人歴史資料継承機構◎兵庫県立歴史博物館特別企画展「阪神・淡路大震災20年 災害と歴史遺産―被災文化財等レスキュー活動の20年―」
2015年1月10日(土)~2015年3月15日(日) @兵庫県立歴史博物館
主催=兵庫県立歴史博物館、ひょうご安全の日推進県民会議、津波により被災した文化財の保存修復技術の構築と専門機関の連携に関するプロジェクト実行委員会、神戸新聞社、NHK神戸放送局△宮崎県総合博物館特別展「”文化財”を守り伝える力―大災害と文化財レスキュー」
2015年1月10日(土)~2015年2月22日(日) @宮崎県総合博物館
主催=宮崎県総合博物館、津波により被災した文化財の保存修復技術の構築と専門機関の連携に関するプロジェクト実行委員会◎歴史資料ネットワーク設立20周年記念「全国史料ネット研究交流集会」
2015年2月14日(土)/ 2月15日(日)@野村證券神戸支店アネックスホール
記念講演:奥村弘(歴史資料ネットワーク代表委員)「史料ネットの20年と地域歴史文化」、栗原祐司(独立行政法人国立文化財機構本部事務局長)「文化財防災ネットワークの構築について」、木下尚子(熊本大学教授)「日本学術会議提言「文化財の次世代への確かな継承―災害を前提とした保護対策の構築をめざして―」によせて」
1日目報告:岸本覚(山陰史料ネット運営委員)「山陰資料ネットの活動報告」、胡光(愛媛資料ネット事務局長)「愛媛資料ネットの誕生と活用」、松浦義則(福井史料ネットワーク代表)「福井史料ネットの10余年」、山内利秋(宮崎歴史資料ネットワーク)「宮崎歴史資料ネットワークの活動と課題」、今津勝紀(岡山史料ネット)「2014年度の岡山史料ネット-全国史料ネット研究交流集会-」、小関悠一郞(千葉資料救済ネット運営委員)「千葉歴史・自然資料救済ネットワークの活動を通して」、宇野淳子(神奈川資料ネット運営委員)「神奈川地域資料保全ネットワーク(神奈川資料ネット)について」、佐藤宏之(鹿児島歴史資料防災ネットワーク(準備会))「鹿児島歴史資料防災ネットワーク(準備会)」
2日目報告:佐藤大介(NPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク)「宮城での歴史資料保全活動-これまでの歩み・これからに向けて」、中村元(新潟歴史資料救済ネットワーク事務局)「新潟歴史資料救済ネットワークの活動について」、阿部浩一(ふくしま歴史資料保存ネットワーク代表・福島大学)「福島歴史資料保存ネットワークの活動と今後に向けて」、藤本清二郎(歴史資料保全ネット・わかやま代表世話人)「和歌山県における被災歴史資料保全活動と「歴史資料保全ネット・わかやま」」、町田哲(歴史資料保全ネットワーク・徳島事務局長)「「歴史資料保全ネットワーク・徳島」の取り組みと課題」、岩淵義弘(茨城大学補助金研究員・茨城史料ネット)「茨城史料ネットの活動と学生ボランティア-学生の課題と可能性-」、石野律子(地域史料保全有志の会副代表)「長野県北部地震 栄村における文化財保全活動の4年間と今後」、小林貴宏(山形文化遺産防災ネットワーク事務局)「ネットワークを市民と共に繕いつづけよう」
主催=独立行政法人国立文化財機構
共催= 神戸大学大学院人文学研究科地域連携センター、科学研究費補助金基盤研究(S)「災害文化形成を担う地域歴史資料学の確立―東日本大震災を踏まえて―」(研究代表者:奥村弘)研究グループ
後援=岩手歴史民俗ネットワーク、茨城文化財・歴史資料救済・保全ネットワーク、岡山史料ネット、鹿児島歴史資料防災ネットワーク(準備会)、神奈川地域資料保全ネットワーク、芸予地震被災資料救出ネットワーク愛媛、山陰歴史資料ネットワーク、地域史料保全有志の会、千葉歴史・自然資料救済ネットワーク、新潟歴史資料救済ネットワーク、福井史料ネットワーク、ふくしま歴史資料保存ネットワーク、NPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク、宮崎歴史資料ネットワーク、山形文化遺産防災ネットワーク、歴史資料保全ネットワーク・徳島、歴史資料保全ネット・わかやま、尼崎市、神戸市教育委員会、阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター、兵庫県教育委員会、兵庫県立歴史博物館
参加者:2日間のべ233名◎関連企画「トークイベント 資料保全の現場」
2015年2月15日(日)@野村證券神戸支店アネックスホール
話題提供:河野未央(歴史資料ネットワーク)、安田容子(宮城歴史資料保全ネットワーク)
主催=東北大学災害科学国際研究所特定研究プロジェクト「地域歴史資料の防災・減災体制の構築にむけた広域連携研究」(代表:天野真志)、宮城歴史資料保全ネットワーク◎第10回 地域史卒論報告会
2015年3月21日(土)@六甲道勤労市民センター
報告:辻阪啓子(大阪大学)「近世後期における河内国の豪農塩野家の読書や医者との交流」、八木貴裕(大阪大学)「近世中後期における水車業の展開と地域社会―摂津国八部郡の事例より―」、仁木将之(神戸大学)「中世伏見荘における地下侍の存在形態―大名被官化とその背景―」、古迫肇(大阪市立大学)「明治初年大阪における蔵屋敷の推移と帰結」
共催=神戸史学会
参加者:40名○兵庫区歴史講演会「戦災から70年、震災から20年」
2015年3月29日(日)@兵庫公会堂
講演:佐々木和子(神戸大学地域連携推進室)「神戸市の戦災」、吉川圭太(神戸大学大学院人文学研究科特命講師)「震災20年~震災の記憶と歴史~」
共催=兵庫区まちづくり会議、兵庫区役所
参加者:約150名
3 震災記録保存と文化財防災
〔被災文化遺産支援コンソーシアム(CEDACH)への協力〕
考古学研究者を中心とした被災文化遺産支援コンソーシアム(CEDACH)では、 文化遺産の保全と復興を通じた「防災遺産学」の構築に取り組んでいる。CEDACHのこれまでの活動の総括として『防災遺産学(仮)』(岩田書院、2015年刊行予定)を出版することになっており、史料ネット運営委員は、編集作業及び執筆に協力した。
〔水損史料修復ワークショップと学会等での報告〕
今年度も引き続き、水損史料修復ワークショップと学会等での報告を下記の通り行った。
今年度は、大阪や徳島で報告およびワークショップを行ったほか、阪神・淡路大震災20年にあわせた各地の博物館・美術館の企画展の関連企画でもワークショップを行い、史料ネットのこれまでの活動蓄積を積極的に発信し、各地資史料ネットや学会との共有に努めた。
参加・協力△(五十音順)
△板垣貴志・加藤明恵・吉原大志 「水損史料ワークショップ」(徳島県文化財保全整備市町村協議会研修会)
@鳴門市役所、2014年7月22日 参加者:約30名△奥村 弘 「復興過程の大学の地域連携-阪神淡路での歴史分野からの示唆-」(岩手大学第9回地域防災フォーラム「未来への復興まちづくり~岩手大学×神戸大学連携フォーラム~」) @岩手大学復興祈念銀河ホール、2014年8月3日
△奥村 弘 「歴史資料保全ネットワークの取り組み」(平成26年度文化庁地域と共働した美術館・歴史博物館創造活動支援事業『みんなでまもるミュージアム』第2回全体会議) @九州国立博物館、2014年8月11日
△奥村 弘 「地域歴史遺産を活かした大学と公共図書館との連携の可能性を探る」(平成26年度阪神地区公共図書館協議会研究集会) @尼崎市立図書館、2014年9月17日
△奥村 弘 「歴史資料ネットワークの歴史資料保全活動の20年」(兵庫県文化財保護条例制定50周年フォーラム) @県立美術館ミュージアムホール、2014年11月8日
△奥村 弘 シンポジウム「ふるさとの歴史と記憶をつなぐ-東日本大震災1400日・史料保全の「いま」と「これから」-」司会 @仙台市博物館ホール、2014年11月29日
△奥村 弘 「歴史資料ネットワークの活動から」(「これからの文化財防災-災害への備え」) @東京文化財研究所、2014年12月4日
△奥村 弘 「1995年阪神・淡路大震災への対応3 -歴史資料ネットワークの活動-」(独立行政法人国立文化財機構アソシエイトフェロー研修講演) @神戸大学大学院人文学研究科
△奥村 弘 「地域歴史遺産保全活用における大学の地域連携活動-神戸大学人文学研究科地域連携センターの事例から-」(平成26年度文化庁地域と共働した美術館・歴史博物館創造活動支援事業『みんなでまもるミュージアム』第3回全体会議) @九州国立博物館、2015年1月22日
△奥村 弘 「大規模災害の記憶の共振とその歴史化-阪神・淡路大震災と東日本大震災の資料から考える-」(「被災地図書館との情報交換会」) @神戸大学付属図書館、2015年1月23日
△奥村 弘 「大学と博物館の連携-歴史資料ネットワークと神戸大学人文学研究科地域連携センターの活動から」(日本博物館協会研究協議会「大規模災害と博物館-阪神・淡路大震災から20年を迎えて」) @兵庫県立博物館、2015年1月30日
△奥村 弘 「史料ネットの20年と地域歴史文化」(歴史資料ネットワーク設立20周年記念「全国史料ネット研究交流集会」) @神戸国際会館、2015年2月28日
△奥村 弘 「地域歴史遺産の保全と活用-歴史資料ネットワークの活動から-」(文化財防災ネットワーク研修) @奈良文化財研究所、2015年3月4日
△奥村 弘 「大災害の記憶と研究を伝えていく大学の役割-阪神・淡路大震災20年、東日本大震災4年の中で考える」(「第3回国連防災世界会議パブリックフォーラム 被災地大学間シンポジウム」 @仙台市、2015年3月15日
△奥村 弘 「地域歴史遺産とまちづくり-豊かな歴史文化をつたえるために-」(「明石市まちづくり地域歴史遺産活用講座」)@明石文化博物館、2015年3月21日
△奥村 弘 パネルディスカッション「地域と共に考える文化財の防災減災-地域歴史遺産、市民参加、大学・ミュージアム、悉皆調査、過疎化・高齢化・危機管理-」パネラー(独立行政法人国立文化財機構「文化財防災ネットワーク推進事業」公開シンポジウム) @九州国立博物館、2015年6月14日
△川内淳史 「大規模自然災害時における資料保全-阪神・淡路大震災からの資料保全ネットワークの活動-」(弘前大学防災社会研究会 第26回公開研究会) @弘前大学、2014年11月11日
△川内淳史 「講座Ⅰ・文化財保存がつなぐ生存の場」司会(朝日カルチャーセンター・福島フォーラム「歴史から見つめ直す『生存』の場」) @コラッセふくしま、2015年2月28日 参加者:約200名
△川内淳史 「自然災害と地域資料」(MALUI Talk in Kyoto) @同志社大学、2015年6月7日
△小野塚航一・加藤明恵・吉原大志 「水損資料修復ワークショップ―どこでも、誰でも、簡単にできる」(特別展「災害と歴史遺産―被災文化財等レスキュー活動の20年」関連企画) @兵庫県立歴史博物館、2015年2月8日 参加者:約15名
△加藤明恵 「災害から地域史料を守る」(神戸大学大学院人文学研究科・同地域連携センター主催、まちづくり地域歴史遺産活用講座)@神戸大学大学院人文学研究科、2014年10月19日
△加藤明恵 「災害から地域史料を守る」(明石市主催、神戸大学大学院人文学研究科地域連携センター協力、まちづくり地域歴史遺産活用講座)@明石市立文化博物館、2015年3月22日
△川内淳史・吉原大志 「どこでも、誰でも、簡単にできる!水損資料保全ワークショップ―写真と紙資料―」(特別展「”文化財”を守り伝える力―大災害と文化財レスキュー」関連企画) @宮崎県総合博物館、2015年2月22日 参加者:約20名
△河野未央・松岡弘之・吉原大志 「水損史料ワークショップ」(大阪市立生涯学習センターいちょうカレッジ「まちづくり地域活動デビュー講座」) @大阪市立総合生涯学習センター、2014年9月16日
△東野将伸・吉川圭太・吉原大志 「あなたにも救える!水損資料保全ワークショップ―写真資料と紙資料―」(県美プレミアム阪神・淡路大震災から20年展関連企画) @兵庫県立美術館、2015年1月24日 参加者:約20名
△松下正和 「水損資料修復ワークショップ『災害から歴史資料を守る活動』」 @岐阜大学、2014年8月11日
△松下正和 「平成26年度長期アーカイブズ・カレッジ〔科目6〕アーカイブズ管理研究Ⅳ保存管理(2)災害とアーカイブズ」 @国文学研究資料館、2014年9月12日
△松下正和 「文化財の救出~大規模自然災害から民間所在資料を守り続けて」(平成26年度兵庫県いなみ野学園大学院講座) @いなみ野学園、2014年10月20日
△松下正和 「神戸・古代の災害史」(神戸市埋蔵文化財センター秋季企画展「大地に刻まれた災害史」) @神戸市埋蔵文化財センター、2014年11月15日
△松下正和 「民間所在資料の保全について」「館内の資料保全」「水損史料吸水乾燥ワークショップ」(平成26年度文化庁地域と共働した美術館・歴史博物館創造活動支援事業「みんなでまもるミュージアム」事業) @九州国立博物館、2015年2月25・26日
△松下正和 「災害記念碑を活かした自主防災活動について」(平成26年度文化庁地域と共働した美術館・歴史博物館創造活動支援事業「歴史から学ぶ防災-災害の記憶を未来に伝える-」現地学習会) @於那智勝浦町体育文化会館大集会室、2015年2月28日
△松下正和 「兵庫県丹波市の事例」(科学研究費基盤研究(S)「災害文化形成を担う地域歴史資料学の確立―東日本大震災を踏まえて」(研究代表者:神戸大学・奥村弘)研究グループ「保存科学・歴史系博物館連携グループ」主催、第3回地域歴史資料学研究会「2014年8月豪雨災害対応研究会」) @神戸大学、2015年3月24日
△吉川圭太 「震災の記憶を歴史として伝えるために」(神戸大学震災復興支援・災害科学研究推進室 第3回シンポジウム「大震災を踏まえた教訓と課題~次世代へつなぐ~」) @神戸大学、2015年1月9日
△吉川圭太・吉原大志ほか 「地域歴史資料の防災・減災対策と史資料ネットワークの役割」(文化財保存修復学会第37回大会ポスター発表) @京都工芸繊維大学、2015年6月27日
△吉原大志 「災害から思い出の品を助けよう」(人と防災未来センター夏休み防災未来学校2014ワークショップ)
主催=人と防災未来センター @人と防災未来センター、2014年8月9日 参加者:約10名△吉原大志 「明治~昭和初期の神戸のにぎわい」(旧武藤山治邸学術サロン)
主催=舞子公園管理事務所(旧武藤山治邸) @旧武藤山治邸、2014年11月22日 参加者:約20名△吉原大志 「阪神・淡路大震災 震災資料の20年」(新潟大学シンポジウム「災害史を研究し続けること、史料を保全し続けること」) 主催=新潟大学災害・復興科学研究所 危機管理・災害復興分野 @新潟大学、2014年12月6日 参加者:約30名
△吉原大志 「阪神・淡路大震災20年 記憶を伝える・記録を守る」(寒川町防災講演会)
主催=寒川町文書館、寒川町危機管理課 @寒川総合体育館、2015年2月1日 参加者:約200名
4 災害対策
〔東日本大震災・長野県北部地震〕
2011年3月11日に発生した東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)とそれに伴う津波災害、およびその翌日に発生した長野県北部地震により、東日本地域は甚大な被害に見舞われた。史料ネットでは震災発生直後より被災地の史資料ネットの活動の立ち上がりを支援するとともに、被災地後方より活動のバックアップを行った。また2011年4月に文化庁の提起によって結成された被災文化財等救援委員会(2013年3月解散)の構成団体として参加し、同委員会による文化財レスキュー事業の一翼を担った。2014年7月には、旧救援委員会の枠組みを引き継ぐ形で、独立行政法人国立文化財機構によって「文化財防災ネットワーク推進事業」が開始され、史料ネットも当事業による文化遺産防災ネットワーク推進会議の参画団体となっている。
震災発生より4年以上が経過したが、被災地で活動する各史資料ネットでは、現在でもレスキュー資料の整理およびクリーニング作業が継続して行われている。これら各地の史資料ネットと情報の共有をはかりつつ、必要な支援を継続して行っているところである。
〔平成26年8月豪雨〕
2014年7月30日以降に日本各地で発生した豪雨によって、全国各地で大きな被害がもたらされた。史料ネットでは、台風12号・11号で被災した徳島県海陽町へ8月11日に委員3名を派遣し、徳島史料ネットの町田哲氏、徳島県立文書館の徳野隆氏、海陽町立博物館の郡司早直氏とともに巡回調査および水損資料の応急処置を行った。次いで8月23日には、8月16日・17日の豪雨により被災した福知山市へ委員3名を派遣した。埋蔵文化財整理事務室に保管してあった近代史料や埋蔵文化財発掘の図面が水損していたため、その応急処置を行った。また、8月30日にも委員5名・ボランティア1名を同地へ派遣し、引き続き水損資史料の修復処置を施した。8月27日には、丹波市市島町へ委員4名を派遣し、市島町上田地区在住の井上正直氏の先導を受けて地域の寺院を中心に巡回調査を行った。9月5日には広島県立文書館の西向宏介氏からの依頼により同地へ委員2名を派遣した。8月20日未明に発生した豪雨による広島市安佐北区・安佐南区での土砂災害で被災したアルバム類の保全処置を行った。9月8日には再度委員4名を同地へ派遣し、引き続き写真の保全処置を行った。10月11日には、広島県立高陽東高等学校で委員2名と生徒48名を含めた総勢60名が写真の洗浄作業を行った。なお、8月豪雨対応に関しては、ニュースレター77号において特集を組んでいる。
5 組織と運営
今年度の運営委員会は第142回(2014年8月5日)から第153回(2015年6月4日)までの計12回を開催した(第143回は臨時)。運営委員の委員会への出席率もよく、活発に意見を交わした。
従来のメールニュースの配信に加え、2012年7月1日に開設したホームページを中心に情報提供を行った。引き続き、ブログを中心とした情報提供を行い、2014年6月から2015年5月末までの訪問数は31516、ページビューは57806であった。またtwitterアカウント(@siryo_net)を通じたリアルタイムの情報発信や、facebookページの活用も進めている。また、ニュースレターは、3回(2014年12月26日第77号、2015年4月30日第78号、2015年6月15日第79号)発行した。また、過去に発行したニュースレター(第71号~第76号)のPDF化を進め、神戸大学附属図書館震災文庫のホームページ上で公開する予定である。
2015年6月現在の会員数は学会会員8団体、個人会員158名(昨年比±0)、学生・院生会員6名(同比4減)、サポーター50名(同比1増)、ニュースレター購読71名(同比11減)の計293名(同比14減)であった。財政の健全化を図った結果、会費滞納者などの退会もみられ、全体の会員数は減少となった。なお、史料保全活動に関わるボランティア登録数は、2015年6月8日現在85件である。
2014年度 運営委員・事務局・会計監査委員一覧(五十音順) ※太字表記は事務局員兼任
<運営委員>板垣貴志(個人会員からの選出)・大国正美(神戸史学会)・奥村弘(神戸大学史学研究会)・加藤明恵(大阪歴史学会)・川内淳史(大阪歴史科学協議会)・河野未央(個人会員からの選出)・佐賀朝(大阪歴史科学協議会)・東野将伸(日本史研究会)・藤田明良(個人会員からの選出)・前田結城(個人会員から選出)・松岡弘之(大阪歴史科学協議会)・松下正和(個人会員からの選出)・吉川圭太(個人会員からの選出)・吉原大志(個人会員から選出)
<事務局>浅利文子(事務局員)・板垣貴志(事務局員)・奥村弘(代表)・小野塚航一(事務局員)・加藤明恵(事務局員)・川内淳史(事務局長)・藤田明良(副代表)・松下正和(副代表)・吉川圭太(事務局員)・吉原大志(事務局員)
<会計監査委員>澤井廣次・川元奈々
6 版および論文などの掲載
史料ネット委員による論文などの掲載は下記の通りである。
奥村 弘「大災害から歴史資料を守る-歴史資料ネットワークの活動-」(大西愛編『アーカイブ・ボランティア』大阪大学出版会、2014年6月)
奥村 弘「被災歴史資料と災害資料の保存から歴史研究へ ― 地域の過去と未来をつなぐために」(2014年度歴史学研究会大会報告『歴史学研究』924号、歴史学研究会、2014年10月)
奥村 弘「資料ネット」(文化財(美術工芸品)等緊急保全活動・現状調査事業研究会編『これからの文化財防災-災害への備え』独立行政法人国立文化財機構 東京文化財研究所、2015年3月)
奥村 弘 一般財団法人住吉学園住吉歴史資料館編『阪神・淡路大震災資料集Ⅰ 住吉の記憶「住中と水」』2015年3月、一般財団法人住吉学園住吉歴史資料館(第一章第一節 住吉の記録を未来へpp.1-8を執筆、第二章聞き取り編pp37-96を奥村他8名で共同担当)
奥村 弘「地域の過去と未来をつなぐ地域歴史遺産-史料ネット20年の活動から-」(『平成26年度地域と共働した美術館・歴史博物館活動支援事業「みんなでまもるミュージアム」報告書』「みんなでまもるミュージアム」事業実行委員会、2015年3月)
奥村 弘「地域歴史遺産保全活用における大学の地域連携活動-神戸大学人文学研究科地域連携センターの事例から―」(前掲書)
小野塚航一「紹介 阿部浩一・福島大学うつくしまふくしま未来支援センター編著『ふくしま再生と歴史・文化遺産』」(『歴史評論』777号、2015年1月)
加藤明恵「史料ネット設立二〇周年『事務局資料』から振り返る史料ネットの二〇年間」(『ヒストリア』第250号、2015年)
加藤明恵・吉原大志「どこでも、誰でも、簡単にできる 水損資料の応急処置」(兵庫県立歴史博物館編『阪神・淡路大震災20年災害と歴史遺産―被災文化財等レスキュー活動の20年―』兵庫県立歴史博物館(特別企画展図録)、2015年)
川内淳史「『震災資料』保存の取り組みの現状と課題-阪神・淡路大震災から東日本大震災へ-」(『情報の科学と技術』64巻9号、2014年)
吉原大志「阪神・淡路大震災資料の収集・保存をめぐる相互協力」(『災害・復興と資料』第5号、2015年)
吉原大志「書評 奥村弘編『歴史文化を大災害から守る』」(『記録と史料』第25号、2015年)
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