2016年4月14日に発生した「平成28年熊本地震」により、大きな被害が出ています。被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げますとともに、また、亡くなられた方のご遺族に深くお悔やみを申し上げます。今後被災地の復旧にむけて活動される災害ボランティアや自治体職員のみなさまのご尽力に敬意を表するとともに、被災地の一日も早い復旧・復興を、歴史資料ネットワークとしてお祈りいたしております。

歴史資料ネットワークでは、本日夕刻に神戸大学で臨時委員会を開催し、当面の間緊急事務局体制に移行することといたしました。現在九州地方のみなさまを中心に連絡をとりながら、被害状況の把握につとめているところです。お近くで古い文書・記録などの被害情報がありましたら、下記のフォームよりお知らせいただければありがたく存じます。神戸からの後方支援をおこなう予定で、具体的なことが決まりましたら、サイトなどでもお知らせいたします。

  • 実施期間:2016年4月15日(月)から当面の間
  • 対応方法:Fax・メール(24時間受付) ※電話は出ることができません

※4/17・追記 本記事の投稿後に本震とみられるさらに大きな地震が発生し、余震も引き続き活発な状況が続いております。インフラが大きく損なわれているなかで、現地では人命を最優先とした救助対応が続けられているところで、全国社会福祉協議会からは現時点でのボランティア活動自粛の呼びかけも行われました。私たちも引き続き関係者のみなさまと緊密な情報収集につとめながら、取り組み等が可能となった時点で改めてお知らせしたいと考えております。

平成28年熊本地震の被災地のみなさま、ならびに災害ボランティアのみなさまへ(歴史資料保全のお願い)

泥や水で汚れた古い記録を捨てないでください

災害復旧の過程で、泥や水で汚れた古文書などが出てくることがあります。これらは一見するとゴミのように見える場合がありますが、地域の貴重な歴史を記録したかけがえのない財産ですので、安易に処分しないでください。適切な処置法を行うことで、修復することが可能な場合があります。

そもそも歴史資料って何?

「うちにはそんな古いもの・貴重なものなんてないわ…」とすぐに処分しないでください。国や県や市町村による指定文化財だけが歴史資料ではありません。下記のようなものもムラやマチの歩みを示す貴重な資料なのです。これらのものは捨てたり焼いたりせず大切に保管して下さい。

  • 古文書(くずした文字で和紙に書いたものなど)
  • 古い本(和紙に書かれて冊子にしてあるものなど)
  • 明治・大正・昭和の古い本・ノート・記録(手紙や日記など)・新聞・写真・絵
  • 古いふすまや屏風(古文書が下貼りに使われている場合がよくあります)
  • 自治会などの団体の記録や資料
  • 農具、機織りや養蚕の道具、古い着物など、物づくりや生活のための道具など

どこにあるの?

これらのものは旧家の母屋や蔵、あるいはその中の木箱や和箪笥(わだんす)、長持(ながもち)など公民館のロッカーやその中の段ボール箱などに収められていることが多いようです。

どこに相談すればいいの?

災害ボランティアの方は、処分する前に所蔵者に確認してください。また史料所蔵者の方々も安易に廃棄・売却などせず、処置に困ったらお近くの教育委員会や、各地の史料ネットにご相談ください。

行政の方々も復興業務で日々大変なご苦労があろうかと思います。ライフラインが復旧し、文化財業務に戻った段階ででも結構ですので地域の歴史資料の安否確認活動や被災史料の保全活動にご協力賜れば幸いです。

なぜ保全する必要があるの?

歴史資料ネットワーク(事務局・神戸大学大学院人文学研究科地域連携センター内)は、1995年に発生した阪神・淡路大震災の被災地で、歴史資料をはじめとした文化遺産の救出・保全をおこなってきた、歴史研究者を中心としたボランティア団体です。全国の歴史学会や関係団体、自治体や市民のみなさまと協力しながら、地域社会の民間資料の救出や文化財の被害調査などに取り組んでいます。

私たちがこのような活動を行ってきたのは、災害が起きるとそれを契機に家や蔵に古くから置かれていた歴史資料が破棄・処分されてしまうことがよくあるからです。これまでも、私たちが駆けつけた時にはすでに歴史資料が処分された後であったということが何度もありました。

家々にはさまざまな形で家の記録や地域の歴史を伝えるものが数多く残されています。しかし、今回の災害により長く伝えられてきた古い文書や記録などがなくなってしまうとすれば、それは家にとっても地域にとっても残念なことといわざるをえません。

地域や家の歴史を復元するための唯一かつ貴重な地域の歴史資料の保全活動にご協力を賜れば幸いです。

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