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9月3日から4日にかけて
佐用町・宍粟市にて水損史料の保全活動を行いましたので
ご報告申し上げます。(ま)

参加メンバーは
9/3 史料ネット2名(木村・松下)、町教委4名
9/4 史料ネット3名(奥村・木村・松下)、町教委1名、市教委2名
でした。

■9/3(木)
・A家
午前中は、調査室で自然乾燥中のA家近代史料をエタノール消毒、天日干しを行いました。
午後は、A家の蔵から水損史料保全を行いました。
調査室に戻った後は、汚損史料の冷凍処置と水損屏風の下張り剥がしを行いました。

・久崎の巡回調査
F家を訪問。支所に古文書を寄託していた家。
川の側のお宅だったのでお見舞いに行ったところ高い堤防の上に立地していたことが
幸いし、浸水はなかったとのことでした。

・C家の水損書画について
兵庫県立歴史博物館の学芸員さんから応急処置のレクチャーを受け
ご当主の娘さんにその方法をお伝えしました。
来週には直接学芸員さんから応急処置をしてもらうことになりました。

■9/4(金)
・A家
午前中は、調査室で自然乾燥中のA家近代史料の固着展開とエタノール消毒、天日干しを行いました。

・佐用町役場の水損公文書
町教委の職員とともに扇風機による乾燥中の公文書について状況を視察。
泥がついて、多少カビと臭いがあったものの、全般的にはそれほどひどくはない様子でした。
簿冊を立てて乾燥させること、扇風機の台数を可能な限り増やし空気の対流を作ること、
エタノールによる消毒など、応急処置と乾燥法について簡単にレクチャーしました。
可能であれば長期保存の必要性がある公文書については冷凍保管とフリーズドライを勧めました。

・宍粟市A地区区有文書
午後からは、宍粟市のA地区に向かいました。
A地区区長宅で預かっていた和箪笥(明治9年調製)が浸水し、中の区有文書が水損してしまいました。
この区長さんは9/2の『神戸新聞』の記事をご覧になり、
史料ネット事務局に保全要請依頼のFAXを送ってくださいました。

区長さんは公民館で早い段階から史料を陰干しなさっていたので、
史料には泥が付着し多少カビが生えていたものの
臭いも少なく、史料の状態はそれほど悪くはありませんでした。
古い物では近代の字限図と山林を中心に描かれた村絵図がありました。

固着展開により1ページずつ空気に触れさせながらの乾燥させました。
またエタノール噴霧による消毒、ヘラ・歯ブラシによる泥・カビの除去も行いました。

泥で汚れた洋紙製の表紙は交換しても構わないが、中身は大切に保存してもらうよう依頼しました。
表紙はすべてデジカメで撮影し現場でCD-Rに焼いて区長さんにお渡ししました。
また、元の和箪笥も明治初年の地租改正事業や地方制度の改正と関わって
文書箪笥が新調された可能性や、地区の歴史にとって重要なものであることを説明し
保存してもらうよう区長さんに依頼しました。
その結果、今後も史料とともに大切に保管してくれることとなりました。

大阪に帰る時間が迫ってきたため、残りの乾燥作業を市教委の職員さんにお任せし
公民館を辞去しました。
中性紙箱への史料の移管、防虫剤封入などの続きの作業は来週10日木曜に行うこととなりました。

災害復興で大変な最中に史料保全活動や聞き取りにご協力賜った
所蔵者の方や町教委・市教委の皆さま、
また応急処置や保管についてご教示ご協力を賜った
兵庫県立歴史博物館の皆さまにお礼申し上げます。