神戸ドキュメンタリー映画祭実行委員会からのお知らせです。

神戸の映画史に関する報告と、関連映画上映会が神戸映画資料館を会場に2週連続で行われます。
3/5(日)には、当会事務局長の吉原が、1930年代の映画館の労働争議をテーマに報告する予定です。

映画史や映画にご関心のある方は、奮ってご参加ください。

詳細はコチラ

「神戸の映画・大探索」神戸映画史・外伝

2017年2月26日(日)外伝1 3月5日(日)外伝2
会場:神戸映画資料館

神戸の映画史を開拓するプロジェクトの成果報告と関連映画上映会を2週連続で実施する。1日目は、2015年から2016年に渡って『神戸新聞』で連載された「キネマコウベ」の執筆者によるトークと、連載で取り上げられた団徳麿主演の珍しい映画を上映するほか、1980年代に関西における“特撮映画のメッカ”として君臨した伊丹グリーン劇場に関する調査報告が行われる。2日目は、サイレント映画からトーキー映画への過渡期に全国で発生した活動弁士と伴奏音楽学士たちによる労働争議に注目した神戸映画史の開拓と、神戸で1970年代に展開した自主映画上映の歴史を跡付ける研究報告と関連映画上映。

板倉史明(神戸大学准教授/神戸ドキュメンタリー映画祭実行委員会委員)

2月26日(日)
 神戸映画史・外伝1 [参加無料]

  • 13:30~ 「キネマコウベ こぼればなし」
    田中真治(神戸新聞文化部記者)[予定]
    日本映画史は1896年11月の神港倶楽部でのキネトスコープ公開に始まります。「キネマコウベ」は映画上陸120年にちなんだ地域映画史の試み。協力を仰いだ神戸映画資料館のフィルムや資料からは「本庄商会」「中島映画」「野田商会映画部」など先行書にはない新たな発見がありました。とはいえ、分かったことはごく一部。参加者からの情報や意見をいただくことで、今後の研究の足がかりになればと期待しています。
  • 14:10~ 参考上映
    『野情』
    (1928年/31分[16fps]/サイレント/16mm)
    監督:後藤秋声 出演:団徳麿、原駒子
  • 15:00~ 「伊丹グリーン劇場と関西の特撮文化」
    板倉史明(神戸大学准教授)
    本発表では、1980年代の関西における“特撮のメッカ”として、特撮映画のオールナイト上映会やアマチュアによる特撮8ミリ映画コンテスト「グリーンリボン賞」が開催されていた伊丹グリーン劇場(兵庫県伊丹市)の歴史に注目し、そこに集った特撮ファンたちの文化について、残された資料や関係者への聞き取り調査にもとづきながら読み解いてゆきます。
  • 15:30~ 参考上映
    『おらあカッパだ』
    (1968年/30分/16mm)
    製作・特撮監督:大橋史典 監督・脚本:八束 基 制作:日米特撮映画
    出演:保積ペペ、明石潮、仁礼功太郎

 

3月5日(日)
 神戸映画史・外伝2 [参加無料/特別上映を除く]

  • 13:30~ 「1930年代前半における神戸および関西の弁士争議」
    吉原大志(歴史資料ネットワーク事務局長)
    1930年代、日本の映画がサイレントからトーキーへ移り変わるなかで、映画館で働く人たちが労働争議を起こしました。各地の映画館がこの争議の舞台となり、弁士や楽士だけでなく女性従業員も参加した幅広いたたかいでした。神戸の事例を中心に、トーキー反対争議を通じて、人々が働く場としての映画館について、歴史のなかから考えます。
  • 14:10~ 参考上映
    『ノンキなトウサン竜宮参り(夢の浦島)』
    (1925年/10分/35mm)監督:木村白山 解説:牧野周一
    なまけ者のノンキなトウサンが、夢で海中のカフェー竜宮館で遊び、みやげに貰った玉手箱から出てきた鬼におどろかされ働き者になるというアニメーション。本来はサイレントだが、1942年に牧野周一の解説を入れたトーキー版。
  • 『海魔陸を行く』
    (1950年/53分/35mm)監督:伊賀山正徳 解説:徳川無声
    漁師に生け捕られた蛸が酢蛸にされる直前に蛸壺から脱出し、さまざまな天敵に遭遇しながらも故郷の海をめざすという荒唐無稽な実写映画。無声映画弁士として有名な徳川夢声が蛸の声を担当している。
  • 15:30~ 「1970年代の神戸および関西の自主上映」
    田中晋平(神戸映画保存ネットワーク客員研究員)
    1970年代には、日本の映画産業が斜陽化するなか、全国で自主映画や自主上映の活動が隆盛します。神戸では70年代前半から、映画監督の大森一樹や漫画評論家の村上知彦なども参加した〈グループ無国籍〉が、主に新開地の福原国際東映で、多くのプログラムピクチュアのオールナイト上映を行いました。今回は、グループ無国籍による鈴木清順監督の特集でもとり上げられた『関東無宿』の上映に合わせ、当時の自主上映の文化についてお話します。
  • 16:15~ 特別上映[参加費:500円]
    『関東無宿』
    (1963年/93分/35mm)日活
    監督:鈴木清順 原作:平林たい子 脚本:八木保太郎
    撮影:峰重義 美術:木村威夫
    出演:小林旭、松原智恵子、平田大三郎、伊藤弘子、中原早苗、伊藤雄之助
    後に『ツィゴイネルワイゼン』『陽炎座』を監督する鈴木清順が日活で手がけた異色の任侠映画。

会場:神戸映画資料館
主催:神戸大学地域連携事業「映像を媒介とした大学とアーカイブの地域連携」(代表者:板倉史明)、神戸ドキュメンタリー映画祭実行委員会
神戸市 平成28年度まちの再生・活性化に寄与する文化芸術創造支援助成対象事業