宮城資料ネット・ニュース91号(2010年11月2日)
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栗原市一迫地区で第5次歴史資料保全活動を実施
栗原市築館地区で歴史資料保全活動を実施
白石市で中嶋家・遠藤家文書の整理作業開始
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■一迫地区での第5次歴史資料保全活動
 10月30日、一迫地区にて第5次の歴史資料保全活動を実施しました。参加者は事務局と会員の9名で、前回同様栗原市教育委員会と地元の区長さんのご協力を得ました。
 今回の調査では、前回調査で所在が確認されたS家が対象で、約500点余りの資料をデジタルカメラでの撮影した上で中性紙封筒への袋詰めをおこないました。
この作業と並行して、前回までの活動で古文書の所在情報を得ていたT家の所在調査を、市教育委員会の方とともに実施しました。倉庫に資料があるようだが、調べたことはない、というお話しだったので、お願いして倉庫の中を調べさせていただきました。すると、2階のから大量の古文書が発見されました。これらについては、資料の状態からも早急に整理作業に取りかかる必要があり、御許可をいただいて事務局に借用してきました。
T家の御当主からは、地元の殿様で、先祖が仕えていた遠藤家の史料が白石市で発見されたことを新聞で知り、自分の家の史料も機会があれば誰かに調べてもらいたいと思っていた、それにしてもこんなに残っているとは知らなかった、というお話しがありました。今回の保全活動では、時を超え、地域を隔てても意識される遠藤家主従の絆を通じて、相次いで史料を確認することが出来ているともいえます。同時に、一つの地域・所蔵者方での保全活動が、マスメディアを通じて報道されることで、他地域の所蔵者の方にも大きな印象を与えているということも確認することができました。
なお、今回の活動では、土曜日にもかかわらず、栗原市教育委員会の方に作業終了まで終始サポートしていただきました。我々の活動はこうした方々の協力に支えられて実施しています。多くの方々のご配慮に感謝しつつ、今後も継続する当該地区の調査で、より一層の信頼関係を深めていきたいと思います。
 
■築館地区での歴史資料保全活動
 10月12日、栗原市築館で歴史資料保全活動を実施しました。栗原市教育委員会の協力のもと、宮城資料ネット事務局4名でおこないました。
 今回対象となったのは、栗原郡で村肝入を勤めたお宅で、取り壊し予定の蔵があると栗原市教育委員会より情報が寄せられたため、急遽歴史資料の搬出作業をおこないました。
 蔵からは、近世の村文書に加え、明治から昭和期の文書資料が多数確認されました。確認された資料は、栗原市のもとで保管されることになりました。今後は栗原市と連携しながら対応を協議していくことになります。
 
■白石市での古文書整理作業
 10月5日、白石市において昨年保全活動を実施した、仙台藩士中嶋家・遠藤家文書の目録化作業を開始しました。この活動は、白石市教育委員会が採択された、地域伝統文化総合活性化事業の一環として、白石市古文書を読む会の方々と連携して始められました。資料ネットからは事務局4名が参加しました。
 今回は目録作成の作業でしたが、当事業は白石市域の歴史資料保全事業を目的としており、今後は歴史資料の所在調査や資料レスキュー活動などが予定されています。資料ネットも白石市の活動と連携して、保全活動を進めていく予定です。
一件の保全活動から白石市全域の保全活動へ。白石市との協力関係は、資料保全活動をめぐる新たな試みとなりそうです。
 
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