神奈川地域史研究会では、表記テーマで
研究会を開催いたします。
首都圏の皆様、是非ご来場ください (ま)
 
■大災害と文化財保存を考える1

・日時:2月5日(土)13時30分から16時45分
・場所:神奈川県立公文書館 大会議室
      所在地:〒241-0815 横浜市旭区中尾1-6-1、
      電話:045-364-4456(公文書館 管理企画課)
・交通案内:
   相鉄線「二俣川」駅下車、徒歩17分又は相鉄バス「運転試験場循環」で「運転試験場」下車徒歩3分

・報告者
①松下正和氏(史料ネット副代表) 「史料ネットによる水損歴史資料保全活動」
②宇野淳子氏(学習院大院) 「神奈川県内での被災史料確認調査から見えてきたもの」
③有光友学氏(神奈川地域史研究会代表委員)  「神奈川地域史研究会の今後の取り組みについて」
・趣旨文(宇野氏執筆『会報』より転載)
 2011年2月例会では、地域に根付く歴史資料の保存の問題について、2010年9月8日の神奈川県・静岡県での大雨降雨後の県内での被災史料確認調査を一事例として検討したいと思います。神奈川地域史研究会では、2006年度総会記念シンポジウム「首都圏大地震と文化財保存を考える」にて、中越地震での経験や図書館・博物館・文書館の防災対策を学び、ネットワークのあり方を検討なさっています。今回はその続きとして位置づけられるものであり、県内の民間所在史料を保全することを一つの軸とします。
 2010年9月8日、台風10号の影響で神奈川県・静岡県で激しい雨が降り、県内では足柄上郡山北町などで被害が出ました。私は、歴史資料ネットワーク(事務局:神戸大学)の協力を得て、史料保全の基盤づくりをするための活動を開始しました。とはいえ、大学の研究室や学会といった組織での活動ではなく、首都圏在住の方々に、私信の形でメールを差し上げることから始めました。神奈川地域史研究会事務局も連絡を差し上げた一組織です。9月17日には組織のあり方の打ち合わせを行ない、現地で被害状況を確認し、被害があれば対応する(短期目標)、被害がなければ今回の所見を基に今後、被災時か否かに拘わらず史料レスキューが必要な際に動ける組織を作る(長期目標)ことを念頭に動くことが結論となりました。9月20日には史料目録と被害情報を突き合わせて山北町と隣の静岡県駿東郡小山町へ実見に行きました。幸いなことに直接被害は見受けられませんでしたが、17日から20日まで開庁日がなかったため、地域資料の被害の有無を確認できたとは言えないと判断し、町史編さん室を引き継がれ、山北町地方史研究会の事務局が置かれている、山北町教育委員会生涯学習課に電話照会させていただきました。教育委員会及び歴史資料取扱指導員の先生がとても丁寧に対応してくださり、11月16日に再度山北町へ伺い、被害がなかったことを確認しました。
 この経験を通し、地域で史料の所在確認ができている意義と自然災害・人災に対応できる組織の必要性を再認識しました。後者については災害ボランティアの立場から、広域を対象とした地域資料保全の情報を共有する情報ハブづくりならば現状でも可能ですので、11月27日に「首都圏地域資料情報ネットワーク」メーリングリストを立ち上げ(http://groups.yahoo.co.jp/group/km_net/)、全国的に大雨だった12月3日の関東の降雨被害の状況等を発信しています。その経過を纏めて報告する機会を頂戴したのが今回です。
 例会では、宇野からこれまでの活動の報告とメーリングリストを起点とした予防的資料保存について報告申し上げ、またこれまでの活動の際に常に助言をいただいていた歴史資料ネットワーク副代表の松下正和さんに史料ネットの動きと神奈川での活動の位置付け・展望を報告していただきます。また、神奈川地域史研究会の有光友學先生に神奈川地域史研究会のこれまでの取り組みと今後についてお話しいただきます。
 2006年度総会記念シンポジウムの趣旨説明には「まずその事例を見てみる、聞いてみる」とあります(『神奈川地域史研究』第25号参照)。今回も基本はそうですが、県内の情報は皆様のほうが豊富にお持ちです。「現状の確認・報告・展望」が示される報告を踏まえ、地域資料の情報を共有したいと存じます。ご参集いただけますよう、お願い申し上げます。
 
◇◆問い合わせ先◆◇
神奈川地域史研究会事務局
 〒236-8501 横浜市金沢区六浦東1-50-1
 関東学院大学経済学部 田中史生研究室
 電話:045-786-7833